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舞台「ナミヤ雑貨店の奇蹟」感想

2/26 初日公演を見てきました。
※致命的なネタバレはしてないと思いますが、気になる方はご注意ください。

Story

敦也・翔太・幸平は、同じ養護施設で育った仲間。ある夜、ある家にコソ泥に入り、逃亡の途中で、廃屋になった雑貨店に逃げ込む。すると、表のシャッターの郵便口から、誰かが封筒を入れた。中の便箋には、悩み事の相談が書かれていた。この雑貨店の店主は、生きていた頃、近隣の住人の悩み事の相談に答えていたのだ。

3人はほんの遊び心から、返事を書いて、牛乳箱に入れる。すると、またシャッターの郵便口から封筒が。そこには、3人の返事に対する、さらなる質問が書かれていた。

しかも、差出人は、数十年前の時代の人間らしい……。

会場は池袋のサンシャイン劇場。1、2列目をつぶし、普段より少し広めになっている舞台。舞台中央には「ナミヤ雑貨店」。舞台外周にはりつくように、半円(上部は幕で切れている)があり、そこにはいくつか年号が書かれている。レトロな風合いとマッチした客入れの音楽が心地よかった。

オープニングのダンスが、ヒップホップの振りを入れつつも、何かスポーツの動きっぽいような、不思議な振りだった。けれど、3人のキャラ付けにマッチしている感じがして、とても良かった。

数十年前の出来事と今の出来事が入り乱れるような構成、しかも数十年前の出来事は複数人のエピソードが進行していくという、なかなか舞台化するには大変そうな話なのだが、よく整理されていて、いつの話なのか誰の話なのかわからなくなることはなく、ストレスなく見れた。

元々のナミヤ雑貨店の主人は悩み相談にまじめに返していたのを、戯れに返信し始めた3人はわりと言いたいことを言っているのに、それが結果的に助けになったりしているのが面白い。

出てくる人達はみんな普通の人たちで、やりたいことがうまくいったりいかなかったりしていて、すべてがキレイにハッピーエンドになるわけではないんだけど、その中で懸命に生きていることをあたたかくすくい上げるような話だった。

それぞれの思いがぶつかって衝突するようなシーンもいくつかあるのだが、相手への思いゆえのことだったり、そう言いたくなるだけの事情があったりで、あまり不快感はなく、ただただ思いに胸が熱くなった。

猪野くん演じる敦也が、相談者の身の上を自分の母親がどうなったかと重ね合わせて熱くなってしまうシーンがあるのだが、怒りのボルテージの上がり方が自然で、それだけについ反応してしまった感じが出ていて切なかった。


公演は3/6まで、池袋サンシャイン劇場にて。
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