考える練習

舞台やイベントの感想など

舞台「池袋ウエストゲートパーク」感想

池袋ウエストゲートパーク the stage、通称IWGPが終演しました。*1
2週だと終わるの早いですね。

舞台「池袋ウエストゲートパーク」iwgp-stage.com


7/8からアーカイブ配信もあるので、気になってた方はぜひ!
配信チケット購入ページ https://eplus.jp/iwgp-st/
配信期間は 2021年7月8日(木) ~ 2021年7月14日(水)23:59 まで。


以下、感想部分ではネタバレしているので、これから配信見る方は注意!
……と思ったけど、致命的なネタバレをしていないので、あまり気にならない方だと読んじゃっても大丈夫かも。

劇場

豊洲PIT公演+シアター1010公演という、東京2箇所という変則的なスケジュール。みんな言ってたけど、作品の舞台が池袋なだけに、そのうち1箇所だけでも池袋でやってほしかったな…(笑) まぁ当然制作サイドも考えたとは思うので、難しかったんでしょう。

豊洲PIT

フラットと聞いて覚悟はしてたんですが、前の人の頭がかぶるかぶる。微妙に段差がある列もあったので(会場全体で2-3箇所)、その段差列に当たるとかぶらないのかな。2回見たんですが、絶対にどこかは前の人の頭がかぶっちゃって見えない、という感じでした。その位置で俳優がしゃがむともうまったく見えない。

あと音が反響してました。わぁん、と余韻が残る感じ。それがあるのでセリフをはっきりめ、ゆっくりめに言っていた、というのをシアター1010のアフトでキャストさんたちが仰ってて、たしかにそうなるよな、、と。その分、歌の部分は響いて楽しい!という感じ。やっぱりライブハウスだな~という感想でした。

あと劇場周辺にあまりお店がなくて、豊洲駅のあたりまで戻るのが一番早いのもネック。

シアター1010

こちらも2回観劇。めちゃくちゃ見やすくて、舞台上のどこにも人の頭がかぶらないのに感激しました(笑)。でもそれが普通…。やっぱり芝居は劇場で見るべきですね。

全体の感想

GボーイズNo2のヒロトがトップのキングへの対抗心をぶちあげ、Gボーイズの結束が危うくなる。このあたりで他にも細々と事件があり、Gボーイズとレッドエンジェルスのバランスが危うくなったところで、レッドエンジェルスのメンバーが殺害され、本格的に対立状況になってしまう。"トラブルシューター" マコトはなんとかおさめようと奔走するが…という話。原作のサンシャイン通り内戦(シビルウォー)の話をベースに2時間の舞台作品として再構成した話、という感じです。

原作の小説は中高生ぐらいの時に読んでいて、ドラマ版は未視聴。今回舞台化が発表された段階でアニメは見て、小説を数冊読み直した、という状態で観劇して、特段違和感感じなかったんですけど、舞台見てからあらためて小説読んで、驚いたのが、かなりいろいろとエピソードががいじられてるんですよね。舞台作品として、2時間ですっと理解できて、でも盛り上がりもちゃんとあるように再構成されている。にもかかわらず、IWGPらしいなと感じる。

私はこういう、「原作まんまだ!」って思っちゃうんだけど、原作読み直すとエピソードの要素が全然違う、みたいな作りの舞台作品がめちゃくちゃ好きなんですよね…。これやられると脚本書いた人すごい!って無条件に信頼してしまう。なぜかというと、これをやるためには、その話の芯をつかむ必要があるんですよ。「ここだけは外してはいけない」っていうポイントをつかんでいるからこそ、それ以外の部分では好きなだけエピソードを入れ替えたり要素を変えたりすることができる。逆にそれがつかめていない場合は何が外して大丈夫なのかわからないので、とりあえずストーリーをそれっぽくなぞるだけになったりします。(もちろん、ストーリー準拠の作品がすべてそうというわけではない)

わかりやすい違いだと舞台だとキングと京一がタイマンやっちゃうんだけど、小説版ではやってなかったりとか。小説読み返してたらタイマンをやってしまったら終わりだ…!みたいな雰囲気で描写されてて、めちゃめちゃ驚いた(笑) 舞台だとアクションある方が盛り上がるからタイマンしちゃう流れになったのかな~と思っています。

(アニメもちょっと見返してみたら、また違う話運びだった。この作品ではもしかして伝統的にそうなのかも??)

演出とか

演出の品川ヒロシさんは映像作品は経験があるものの、舞台作品は初、ということで、どうなるのかどきどきでしたが、普通によかったな…という感想。しばらく端っこだけ使っちゃうところもなくはないものの、2階部分も含めて、けっこう全体的に使っていて、初めてにしてはうまいな…と感心しました(どこ目線)。

演出で一番好きなのが、エピローグで登場人物たちのその後をマコトが紹介していくシーン。ふらふらと動き回るマコトが止まったところの近くにその人物(たち)が現れ、会話したりなんだりするのにマコトがコメントを挟んでいくんですが、映像作品的な、シーン切り替えつつ描写していくのと舞台作品としての映えが両立してる感じがおしゃれで好き。

あとこれは演出というより脚本かな? 京一がマコトにレッドエンジェルスの通行証になるアクセを渡すくだりが、必要最低限な描写になってたんですが、なんかカットの仕方がおしゃれで、表現はしつつも説明しすぎない感じで好きです。

キャラクターたち

マコト

猪野くんが心のゆらぎを表現するのがうまいのもあり、いろんな出来事に対して真正面から受け止めて葛藤しているような印象を受けました。そのために普通の青年感が際立ってた気がする。あんまり泰然としてないというか。説得シーンも諭すというよりはこの街を守りたいという一心で心をまるごと投げ出してきているようで、必死さにぐっと来ました。キングに「綺麗事ばかり言うな」と言われた後、シャドウにヒロトへのペナルティを依頼する時の、痛みを堪えるような、なんともいえない表情もとても良かった。

キング

しゅっとしててかっこよかった!アニメのキングがわりと冷然としてる感じなので、どうするのかなと思いましたが、基本はそこに寄せつつも、また少し人間らしさが乗った感じで、舞台版としてのキングという感じでよかったです。歌唱力があるので、歌い上げるところでカリスマ感が出ててよかった。マコトとのやりとりに中の人同士の仲の良さが反映されてる感じがして、ちょっとしたやりとりでほっこりしました。カテコでは安定の大輝くんで、役者ってすごいなと思いました(笑)

京一

欲を言えばダンスうまい人がよかったなと思わないでもないんですが(すみません)、京一のしなやかだけど芯がある、不思議な上品さが表現されていて、とてもよかった。終盤の「海だ」がすごく優しい声音で、最初泣きそうになりました。

磯貝

磯貝、、あんなに見た目かわいいのにね…(そこから)。この人もかわいそうな人ではある。調子いいんだけど、どこか底が見えない感じが再現されていて、めちゃめちゃ磯貝だった。


まだまだ原作のエピソードもあることだし、次、ぜひ池袋のどこかの劇場でやってもらいたいな~。

*1:正確には舞台の略称ではない