考える練習

舞台やイベントの感想など

舞台「憂国のモリアーティ」の浮く椅子について補足

前回、浮く椅子についての記事をあげたんですが、前提について伝わっていないケースがあるように思えるので補足です。
hirokuhukaku.hatenablog.com

私は上述の記事で書いたような解釈で受け取ったんですが、これは「こう受け取るのが正解」という話ではありません。「そういう意味だと伝わらなかったら失敗では」という意見見て、そもそもそこが伝わってないかも、と。表現の成功/失敗という観点からいうと、浮く椅子に関しては「何か意味があるんだろうな」が伝わればOKだと私は思っています。*1

ここは私の書き方の問題もあるのですが、「なんか伝えたいんだろうけど、まったくわからん!」でも別にいいんですよ。ただ、「気になるけど、何をどう考えたらいいかわからない」という方向けに、こういう解釈のしかたがあるよという話です。前回記事でも書いたように、あの解釈はあくまで一例であり、他にもいろんな解釈のしかたがあると思います。

極端な話、「浮く椅子に意味などない、ただ、そうしたかっただけだ」という解釈もありだし、「上方の空間が寂しかったから埋めたかっただけだ」という解釈もありです。実際、演出家の意図は実はそう、という可能性もなくはないです(笑)

演出家にはこういうつもりでやったという意図があるだろうし、おおまかに「このあたりの解釈で受け取られるだろう」という予想はあると思いますが、どう解釈するかは明らかな間違いを除き、受け取り手の自由です。

あと、「椅子に意味をもたせてもしょうがなくないか?」という意見も見たのですが、今回はたまたま椅子が見立てられるものとなってますが、別に椅子でなくてもいいんですよね。花瓶でもいいし、燭台でもいい。さっき発生した出来事とつながっていることがわかればいい。なので、椅子に意味を持たせているわけではないと思います。

なんの変哲もない四角の台をテーブルとして扱ったり、台車として扱ったり、屋台として見立てたり…etc、というのはわりと演劇ではよくある手法で、たぶんそういうのに関してはたいていの人が理解できると思います。今回は見立てる対象が、(おそらくは)具体的な物や人ではないのと、「これが正解」というのがあるわけではないので、わかりづらいのかなと思いますが、やってることは同じです。

*1:そもそも「見た人全員が理解できなければ失敗」なのか?という観点もありますが、それはひとまずおいておきます