考える練習

舞台やイベントの感想など

「クロードと一緒に」 Blanc ver./Cyan ver. 感想

Blanc バージョンと Cyan バージョンを見たのでその感想です。

公式サイト
Being at home with Claude -クロードと一緒に-
公演は4/28(日)まで。

Blanc (松田凌主演) 感想

劇場は横浜赤レンガ倉庫3Fのホール。駅からちょっと歩くんですけど、周辺の雰囲気がいかにも港町という感じで異国情緒があってよかった。

作りがよくある劇場と違っていて、入り口どこだ??と戸惑った。チケットもぎりのところから、薄暗い廊下を抜けて、劇場前ロビーまで移動。廊下が本当に暗くて、何があるわけでもないのにどきどきしました。

中の座席配置も不思議な感じ。囲み舞台、かつ斜め。

あらすじに関しては公式サイトの通りです。まぁでもそうであることはあんまり意味がないような気もする。

題材が題材なので後味悪い感じなのかなと思ってたらそうでもなかった。前半は(これどこに行き着くんだ…?)と感じてしんどかったんですが、後半の独白シーンが圧巻でした。


芝居は青年イーブ(松田凌)に対する取り調べの場面からスタート。

何度もいったりきたりする質問、青年の回答ものらりくらりとしていて、途中からまともに意味を追いかけるのを諦めてしまって、感情のやりとりだけ眺めてたんですが、感想を読んでるとみなさんわりとまともに追いかけていてすごい。

あの部分あんなに必要だったのか…?とも思うんだけど、あれだけ長いからその後が映えるのかもしれない。刑事さんがセリフちょこちょこ噛んだり一瞬思い出すような間が空いたりしてたのがちょっともったいなかった。

私が意味を追いかけるのを諦めてしまったのもあってか、この部分はちょっと退屈だった。ただ、舞台上をけだるげに、時にはいらだたしげに、うろうろと歩く松田凌を見ているのは飽きなかった。

そして後半、暗転からの、イーブが一人、舞台の真ん中に顔を伏せて体育座りした状態から独白シーンがスタート。最初、何をするでもなく、ただ座ってるだけでしばらく時間がたつんだけど、何もしていないのに見ていて飽きなくて、不思議な時間だった。ただ、しん…と静かに、イーブを見つめる客席。

理解できるとも思えない、理解してほしいとも思わない、ということを言いながら、語るイーブ。

独白シーンはとても長いのですべてをちゃんと覚えているわけではないんだけれど、クロードがいかに愛してくれたかを語るイーブの様子から、クロードのイーブへの愛情と、イーブがどれだけクロードを愛していたかが伝わってくるような感じがして、胸があたたかくなると同時に、ぎゅっとなって涙が出た。

彼のしたことは理屈ではまったく意味がわからない。けど感覚的にはわかる。という不思議な感じだった。あらためて考えてもなぜ殺したのかは全然わからない。ただ、その時のことを語るイーブの様子を思い出すと心が揺さぶられる。こちらは役者の説得を受け入れればいいだけだけど、演じる側はどう落とし込んでいるのだろう。

このシーン、舞台上にいるのは彼一人だし、誰に向かって語りかけているのかわからなかったんだけど、もともとは刑事に向かって語る場面だったのが一人での語りになったらしい。セリフの内容からして刑事に言ってるようなのに、でもここには刑事いないよな??と不思議だった。

1回目見た後、リピチケを売ってるのを見ながら、彼の記憶を上書きしたくないなと思ったので、その時は買わなかったんだけど、感想検索していて Cyan バージョンは演出がけっこう異なるのを知り、Cyan バージョンを後ほど購入。

Cyan (小早川俊輔主演) 感想

1回目は途中で諦めた前半部分のやりとりがすんなりと頭に入ってきて、そうなると前半部分もがぜんおもしろかった。Cyanバージョンの方が、囲み舞台であることを活用していたような気がする。

同じ役を別の役者が演じるということで、細かい部分は違えど、核の部分はイーブという感じで、なんだか不思議な感じだった。 

後半部分は Blanc と違い、刑事に語り掛ける感じだったので、その分、Blanc ほどとがっていないというか、マイルドだったような気がした。

どちらも

見終わった後はわーっと頭の中が言葉や感情であふれているような感じで、ぐるぐる考えてしまうんだけど、しばらくするとじんわりと「好きだな…」という感情がわきあがってくる。不思議な質感の芝居だなと思う。