考える練習

舞台やイベントの感想など

「クロードと一緒に」 Blanc ver./Cyan ver. 感想

Blanc バージョンと Cyan バージョンを見たのでその感想です。

公式サイト
Being at home with Claude -クロードと一緒に-
公演は4/28(日)まで。

Blanc (松田凌主演) 感想

劇場は横浜赤レンガ倉庫3Fのホール。駅からちょっと歩くんですけど、周辺の雰囲気がいかにも港町という感じで異国情緒があってよかった。

作りがよくある劇場と違っていて、入り口どこだ??と戸惑った。チケットもぎりのところから、薄暗い廊下を抜けて、劇場前ロビーまで移動。廊下が本当に暗くて、何があるわけでもないのにどきどきしました。

中の座席配置も不思議な感じ。囲み舞台、かつ斜め。

あらすじに関しては公式サイトの通りです。まぁでもそうであることはあんまり意味がないような気もする。

題材が題材なので後味悪い感じなのかなと思ってたらそうでもなかった。前半は(これどこに行き着くんだ…?)と感じてしんどかったんですが、後半の独白シーンが圧巻でした。


芝居は青年イーブ(松田凌)に対する取り調べの場面からスタート。

何度もいったりきたりする質問、青年の回答ものらりくらりとしていて、途中からまともに意味を追いかけるのを諦めてしまって、感情のやりとりだけ眺めてたんですが、感想を読んでるとみなさんわりとまともに追いかけていてすごい。

あの部分あんなに必要だったのか…?とも思うんだけど、あれだけ長いからその後が映えるのかもしれない。刑事さんがセリフちょこちょこ噛んだり一瞬思い出すような間が空いたりしてたのがちょっともったいなかった。

私が意味を追いかけるのを諦めてしまったのもあってか、この部分はちょっと退屈だった。ただ、舞台上をけだるげに、時にはいらだたしげに、うろうろと歩く松田凌を見ているのは飽きなかった。

そして後半、暗転からの、イーブが一人、舞台の真ん中に顔を伏せて体育座りした状態から独白シーンがスタート。最初、何をするでもなく、ただ座ってるだけでしばらく時間がたつんだけど、何もしていないのに見ていて飽きなくて、不思議な時間だった。ただ、しん…と静かに、イーブを見つめる客席。

理解できるとも思えない、理解してほしいとも思わない、ということを言いながら、語るイーブ。

独白シーンはとても長いのですべてをちゃんと覚えているわけではないんだけれど、クロードがいかに愛してくれたかを語るイーブの様子から、クロードのイーブへの愛情と、イーブがどれだけクロードを愛していたかが伝わってくるような感じがして、胸があたたかくなると同時に、ぎゅっとなって涙が出た。

彼のしたことは理屈ではまったく意味がわからない。けど感覚的にはわかる。という不思議な感じだった。あらためて考えてもなぜ殺したのかは全然わからない。ただ、その時のことを語るイーブの様子を思い出すと心が揺さぶられる。こちらは役者の説得を受け入れればいいだけだけど、演じる側はどう落とし込んでいるのだろう。

このシーン、舞台上にいるのは彼一人だし、誰に向かって語りかけているのかわからなかったんだけど、もともとは刑事に向かって語る場面だったのが一人での語りになったらしい。セリフの内容からして刑事に言ってるようなのに、でもここには刑事いないよな??と不思議だった。

1回目見た後、リピチケを売ってるのを見ながら、彼の記憶を上書きしたくないなと思ったので、その時は買わなかったんだけど、感想検索していて Cyan バージョンは演出がけっこう異なるのを知り、Cyan バージョンを後ほど購入。

Cyan (小早川俊輔主演) 感想

1回目は途中で諦めた前半部分のやりとりがすんなりと頭に入ってきて、そうなると前半部分もがぜんおもしろかった。Cyanバージョンの方が、囲み舞台であることを活用していたような気がする。

同じ役を別の役者が演じるということで、細かい部分は違えど、核の部分はイーブという感じで、なんだか不思議な感じだった。 

後半部分は Blanc と違い、刑事に語り掛ける感じだったので、その分、Blanc ほどとがっていないというか、マイルドだったような気がした。

どちらも

見終わった後はわーっと頭の中が言葉や感情であふれているような感じで、ぐるぐる考えてしまうんだけど、しばらくするとじんわりと「好きだな…」という感情がわきあがってくる。不思議な質感の芝居だなと思う。

ヒーローとは何か? - ヒロステ感想

僕のヒーローアカデミア The Ultra Stage」、略称ヒロステ、見てきました!
のっけから人様のブログの引用で恐縮なんですが、わかる…!となったので引用させてください。

自分は勝手に2.5次元に上限をつけていたんだと、ここまでしかできないだろうと思っていたことに気付かされました。

yurukuosu.hatenablog.com


最近、「2.5的なモノ」に飽きてきたな~と感じていて、別ジャンルの舞台をもうちょっと新規開拓してみるか~となってたんですが、ヒロステ見て、まだまだ2.5には私が見たことのない可能性があったんだ、、と感じて反省しました。とはいえ、あんまり期待値上げすぎるとよくないかもしれないので、これから見る方は期待値をフラットに戻して見てください。


原作の「僕のヒーローアカデミア」はタイトルは知っていたんですが、読んだことはなくて、今回の舞台のチケットを取ったのも猪野くんが出るからでした。原作を事前に予習するかは迷ったんですが、話そのものへの驚きを優先したのと、予習しなくても話がわかるのがいい2.5次元舞台だと個人的に思ってるのもあり、試す目的もあって、今回は予習せずに。だいぶ駆け足だと聞いていたのでちょっとどきどきしてましたが、見ていて特にわかりづらいと感じたところはなかったと思います。予習なし初見でもついていけるようにうまく編集してくれていたのかなと思う。この先どうなるのかずっと手に汗握りながら見られたので、これはこれで正解だったかな。

話の展開はめちゃめちゃ週刊少年ジャンプ…!という感じでしたが、随所にそれだけではない、ひんやりとした感触があって、ずっと、「ヒーローとは何か?」ということを考えながら見ていたような気がします。オールマイトが平和の象徴として崇められてる感じと、一方で実は活動限界が徐々に迫ってきていることの対比とか…なんだろう、うまくいえないけど、単に人を救いたいという気持ちがあればOK!どんどん強くなれるぜ!っていうんじゃない世界観を感じたというか。

原作読んでみてもう一度考え直したいんだけど、舞台を見て感じたことも大切にしたいから悩ましい。

そうだ、今回見てて、「これは人間のドラマなんだ」っていうのをすごく感じました。ベタな展開だな~って感じるところもあるんだけど、それ以上に役者陣の熱演にドラマを感じて、胸が熱くなって。確かに2.5を見てるはずなんだけど2.5じゃないような。どこか2.5ってリミッターをはめないといけなくて、演じる時もその枠を超えて感情を出してはいけないような印象があったんですけど、今作はその枠を超えてきたような印象。

上海公演やります!って発表見た時は、まだ公演やってないのに海外公演とは思い切ったことするなぁネルケ…と思ったんですが、この作品で海外に打って出ようって思うのわかるわ…いや因果が逆かな? この作品を海外の人にも見てもらえるのがめちゃくちゃ嬉しいし、これ見て2.5っておもしろいなって思ってもらえたら最高だな~。

エーステ秋冬感想 & ぼく明日(荒牧x三森回) 感想

感想記事をあげたくてあげられなくて。気がつけばもう4月ですね。

……早くない??どっかひと月飛ばしてない?

エーステ秋冬

春夏をライビュで見てから楽しみにしていたエーステ。前評判通り最っ高の出来でした。

今だからいうと初日見た時にいまいち「よかった~!」ってならなくて、「期待しすぎたからかな…?」ってちょっとしょんぼりしてたんですけど、2回目見たら「めっちゃよかった…!」ってなって、ぼろぼろ泣きました。あれなんだったんだろ?

秋組の話は劇中劇がかっこよすぎて毎回いいな~羨ましいな~ってなってた。
太一のポートレイトの「好かれたかった。愛されたかった」が噛みしめるような言い方になったのが好き。元が声オタなので言い方に注意が行きがちなんですけど、万里の「お前はGOD座の七尾太一なのか!」のところが、東京公演の最初の方はシンプルに怒鳴るというか大声を出す感じだったんですよね。何回か入ると、冷静に諭すような感じ、優しげな感じ、といろいろ試行錯誤していて。最終的にどうなるのかなと思ってたら大阪で最初の怒鳴る感じに戻ってきてて、(山口は行ってないので山口からの可能性も)、でもそれが単に最初と同じじゃなくて、試行錯誤した過程が全部入った「お前はGOD座の七尾太一なのか!」になってて、めちゃくちゃ興奮しました。

冬組の話は原作読んだ時から好きだったんですけど、やっぱよかったですね…。
紬の来歴とか性格とかが自分と重なるところがありすぎて、すごい共感してしまう。「終わらない文化祭前みたいな…」のシーンと最後にレニさんに意趣返しするシーンが好き。紬の話は自分と重なるところはありながらもすでに過去にさんざん悩んで考えて乗り越えてきた部分が多いので、そこまで持っていかれずに見ることができて、距離感保ちつつ親しみを持って見られる感じで見ててすごく楽しかった。

余談:重なるところが多すぎて推しへの手紙でもそこに触れないのが難しく、私としては珍しく自分語りがかなり多めの手紙になってしまい、出してから「あれ大丈夫だったかな~」って恥ずかしくなったりしました…(笑) まぁ自分語り削ればよかったんだけど、そうするとかなり薄い感想になりそうだったので…。

あとカテコね…。万里と紬のやりとりが毎回めちゃくちゃかわいくて、もっと回数入れるようにがんばればよかったな~って思いました。

朗読劇「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」荒牧x三森回

ぼく明日は初演を見たことがあったので、まぁ話は知ってるしな~みたいな感じだったんですが、
hirokuhukaku.hatenablog.com
推しだと全然違いますね!笑

こっちの集中力が違うんでしょうね、泣き具合は変わらなかったんですが、ひとつひとつの心情がぐっとささってくるようで、心動かされ具合としては変わらないんだけど、後引く感じがあるというか。いまだに楔が刺さったままになってるような感触があります。

一番印象に残っているのが高寿にとっての最終日、詳しく教えてと言われて、詳細に語った後。楽しそうだった表情がすっと苦しそうな表情に変わって、「こんなの、愛美にとってはなんにも楽しくないじゃないか」と言うシーン。初演の時は、そのあとの愛美のセリフにとても大きな愛情を感じて、ぼろぼろ泣いて、そっちの印象が強かったんですが、今回は高寿のつらさがより刺さってくるように感じました。そこから涙をこぼすに至るまでの感情変化が自然な感じで、そのきらめくような心情の変化に惹きつけられて、これまであんまり、荒牧さんのお芝居のしかたが好き、みたいな風には感じたことがなかったんですが、この時はこの人のお芝居をずっと見ていたいな…と感じて、不思議な感じでした。

もうひとつ印象的だったのが、真実を知らされた高寿が「きついんだよ…」と愛美に言うシーンで、案外、つらそうにしてたシーンがけっこう印象に残っているなと思います。

今回は三森さんがしっかりめの印象だったせいもあってか、荒牧さんの高寿はまだ半分少年のような、ちょっと幼い印象。終盤急にぐっと大人びて見えて、それまで幼い印象だっただけにその印象が鮮烈でした。後からインタビューを読んで、真実を知ってからは大人になる感じを意識した、という旨の発言があって、あっていたんだなぁとちょっとうれしくなったりもしました。

池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE 1/4ソワレ 感想

下書きに放り込んだままになっているのに気づいたので、今更にあげてみます。
今年の1月ではなく、昨年1月上旬に観劇した感想です(笑)

↓↓↓

ざっくりでいいから早くあげてみよう企画第2弾。タイトルに日付入れると今日の感想ですって感じになって書きやすい気がする。

感想ブログ読んで「やっぱり気になる!」と思ってチケット取ってたんですが、とても…よかった…。

劇場は東京芸術劇場シアターウエスト。
通常は奥側にのみ舞台、だと思うんですが、ど真ん中にどんっと舞台があって、奥側は舞台と同じ高さのところにひな壇が作られて座席が置かれてました。なので奥側最前列は舞台と地続き。手前側の最前列もそうだったのかな?
K列だから双眼鏡いるなーと思って持っていったんですが、通常の形式の場合の前方列がつぶされてるために実際は7列目だったので、なくても普通に表情見えました。双眼鏡を使えばどこでも前方席派ですが、使わないほうがやっぱり舞台そのものに集中できていいですね。

なんだろうなー。めちゃくちゃ良くて、こんなに上質なエンターテイメントが7,500円(一般席)で楽しめるとか実質タダでは?って感じでした。

とあるギャング集団が仕切っていた池袋に新たなリーダーが現れて別の集団ができ、対立構造に陥ってしまい、悲劇が起こる…という話なんですが、流れの表現が絶妙で…。歌もダンスもレベル高いし、とにかく楽しかった。


以下、箇条書きまじえつつ。

  • 開演数分前からダンスバトルがあり、高まるストリート感。
    • ダンサーさんたちと俳優陣とのガチンコのダンスバトル(観客の拍手の大きさでどっちが勝ったか決める)
  • 染谷俊之さん演じるキングの存在感がすごかった。
    • 声の威圧感がすごい。単なる低めの声じゃないんだよね。めちゃくちゃかっこよかった…。小説読んでた時のイメージではガタイがいい人の印象だったから、「染谷さんがキング??」って思ってたんだけど、あ、この人は「キング」だって思った。納得せざるを得ない。
  • 対立相手のトップもよい
    • 染谷さんとは逆に、高めで飄々とした声なんだけど、地に足ついてない不思議な浮遊感が別種の底知れなさを感じさせて、ふらっと来てトップを取ってしまうことに関して、この方もすごい納得感があった。


池袋ウエストゲートパークはだいぶ前に小説で読んだきり、おぼろなイメージがあるきりなんですが、たぶんこれけっこういじってる、よね? こんな悲壮な感じの話だった覚えがない(笑)。

池袋のギャング集団がお互いに緊張状態高まったあげくつぶしあいになってしまい、それを止められなかった主人公が無力さを嘆く、という話なんですが、こんなに救いのない話だったっけ…? なんだかんだで止めてそうな気がするんですが、違ったかな。しかも最後、衝突を止められてないっぽい上に、その暴走の結果、どうなったかが示されないという…。主人公が生きてるとこ見ると、そこまで悲惨な事態にはならなかったんだろうか。

最後まで中立な立場を貫くマコト(大野拓朗さん)がいかにもまっとうに育ってそうな感じで、どっちかに肩入れするでもなく、中立な立場を貫く点に説得力があってよかった。

実は裏でヤクザが手を引いてて、いいように利用されてただけだ、という真実が明らかになるあたりで、「あ~池袋ウエストゲートパークってこういう話運びする物語だったよね!」って懐かしさを感じた。話がギャング同士の話で終わらないあたり、大人のずる賢さに負けるな、というメッセージも感じるし、世界は広いんだぞ、というのも感じる。石田衣良さんの小説はこういうところが好きだったなぁ…と思い出しました。
あとクラシックが要所要所で出てくるのもIWGP味を感じた。小説だと自分で探してこないと聞けませんが、舞台だとその曲がながれてくるのいいですね。

モブの人たちが赤と青、両陣営どっちも担当してるの、人はどちらにもなりうる、とかどちらでも変わりない、とか、なんかいろいろ読み取って遊べますね。舞台から退出して即逆陣営のブルゾンを羽織って出て来ることもあって、アンサンブルさん大変だ…とも思ったけど。

あれだけキングの言うことなら聞いていたのに、最後の最後、「武器を置け」って言われてもそこだけは従えないのも真実味があってよかったな…。凄むキングの表情もよかった。染谷さんはわりと飄々としたキャラばかり見てたから、あんな表情は初めてみた。

カクシンハン・スタジオ 第1期 修了公演「ロミオとジュリエット」

何気なくTLを眺めていたら、カクシンハンでロミオとジュリエット、当日券販売予定ということだったのでふらっと行ってきました。

柱の後ろになるんですが…と言われ、どんな感じなのかなと思っていたら本当に柱の後ろだった(笑) 席ついた瞬間、思わず「な、なるほどw」って言ってしまった(笑)
真ん中のステージは全部見えたけど、上手側のステージ脇の一段降りたところはまったく見えず。さすがに誰がしゃべってるかわからないのはきつかったので、時々のぞいて確認してました。横の人と後ろの人ごめんなさい。段差ある会場だからそこまで邪魔にはなってなかった…と思いたい。


ロミジュリ自体をちゃんと見たのがたぶん初めてなので、他のプロダクションと比べてどうこう、というのはまったくわからないんですけど、役者さんたちはとても初々しい感じながらも、カクシンハン節ががっつり効いてて面白かった。ロックっぽい感じの音楽に乗せてセリフが始まると「カクシンハンだ~~!」と思ってすごいテンションあがってしまう。

2.5次元舞台でも明らかに経験浅い人がいることはままありますが、そういう人たちの感じともまた違ってて、週3で10ヶ月稽古してきた成果なのかな? 技術的には拙いながらもテキストの理解がちゃんとしてる感じがあって(完全に印象ですが)、興味深かった。

ただ、初日なのにすでに声が枯れてる人がいたのがちょっとつらかった…。喉しんどいだろうなと思って気になってしまう。

神父がジュリエットに薬を飲んだらどうなるか説明するシーン、途中からコロスも一緒に言うのと、ジュリエットがどうなるかをセリフにあわせて示しながらやる演出が好き。コロスが好きっていうのもあるんですけど、ああすることでおどろおどろしさが増す感じが楽しいなと思った。

それとエピローグの演出がめちゃくちゃかわいくてほっこりしました。他の方の感想読んでると普通はないっぽいので、セリフ自体が付け足されたものなのかな? シェイクスピアっぽくない感じのセリフに聞こえたのがちょっと気になりましたが、あのシーンがあることですごく救いを感じるな~と思う。


余談:
未経験がほとんどの人たちで作り上げるという点で、A3!*1のMANKAIカンパニーを思い出したり、テニミュ*2を思い出したりしてました。
MANKAIカンパニーの春組なんかはガチで初心者ばっかりで、数ヶ月の稽古で公演打ったことになってるけど、あれはやっぱりファンタジーなんだなぁ…と感じたり、そう考えるとテニミュって俳優育成の場としてすごいんだな…と明後日の方向に感心したりしてました。以前に同じキャラを演じたキャストの様子を参考にできる、キャラっぽく振る舞うことでセリフ回しの拙さや演技力の不足を補えるからなどの理由もあるとは思いますが。


アフタートーク

23日夜公演は演出の木村龍之介さんとシェイクスピア研究家の北村紗衣さんによるアフタートークがありました。

北村紗衣さんが仰ってたところによると、神父や乳母など年齢が上の方の役の人たちのセリフがわりとカットされてるそうです。そのためにだいぶ若々しい感じになってますよね、からの「このヴェローナに叡智はない」っていうのに笑ったw
ツイートもされてたのでリンクはっておきます。


こういう演出になってますねって話に対して、演出の木村さんはどういう意図でそうしたかは注意深く言わないように避けてる感じだったのが印象的でした。そこも聞きたかったんだけど、言うとそれが正解になっちゃうからかな。


シェイクスピアをどう楽しめばいいのか、という話で、いきなり戯曲はオススメしない、あれは設計図だからという話が出て。まずは何かプロダクションを見てほしい、それから戯曲を読んでほしいと。戯曲を読む際も具体的にあのシーンこうだったな、なんでこうなんだろとか具体的に思い出しながら読むのがいいということでした。

好きな役者さんが演じたらどうなるかなとか、とにかく具体的に想像しながら読むのがいいです、と言われてなるほどな~という感じでした。戯曲ってそのまま読んでも無味乾燥な感じがして読みづらいんだよなって思ってたんだけど、そういうふうに読めばいいのかと。

今回、好きな役者さんがこういうの演じたらどういう感じになるんだろうなぁって考えながら見ていたのもあり、ミーハーな方向性を肯定されたような気がして嬉しかった(笑)


あとミーハー路線の話でいうと、北村さんがなぜシェイクスピアを好きになったかの理由が「中学生の頃にディカプリオ主演のロミオとジュリエットを見たから」で、その後もずっとディカプリオが原因ですねって言ってておもしろかったです。

*1:アプリゲームの名前。プレイヤーは劇団の監督として役者を育成する

*2:ミュージカル「テニスの王子様」。若手俳優の登竜門的な作品として知られている

10月の観劇・イベント記録

ちゃんとした記事をあげようとするから記事が完成しないのでは…?
ということで、数行ずつ感想書きつつ、振り返っていこうと思います。
下書き状態でちびちび書いてるうちにもう11月も終わってしまったけど気にしない!

10/10-12, 21 音楽朗読劇「ヘブンズレコード ~青空編~」
hirokuhukaku.hatenablog.com
震災を題材にしたヘビーな話に対してこういう書き方は語弊があるかもしれないけど、期間中めちゃめちゃ楽しかった。

初日は話の重さにやられてしまい、見終わった後すぐに電車乗る気になれず、ぼんやりと一駅歩いてから電車に乗って、帰ってからも、「うぅ…重い…」ってうめいてるような感じだったんですけど、2日目からは単に重いだけじゃなく、いろんな感情を受け取れるようになった感じですごく楽しかったです。結局荒牧さん回を4回、前山さん回を1回見ました。

いろんな人の関西弁聴き比べも楽しかったな~。初回のぱっと聞きは自然に聞こえた人も2回目仔細に聞いてみるとネイティブとは違う感じがあったりして、方言というのは単にアクセントやイントネーションだけではなくて、細かい上がり下がりの違いだったり、子音の発音の強弱だったりによって構成されてるんだな~とかわかって興味深かった(言語フェチなところがあるので)。

筆不精の私としては珍しく毎公演手紙を書いていて、本当に好きだったんだなぁと振り返って思うんだけど、この作品はスタオベしたい…!と思ってたら千秋楽スタオベする流れになって、めちゃくちゃ嬉しかった。立ちたいなって思いながらも立つ勇気が出ず不発…というのが続いていたので、スタオベしたいと思ってそれができるのってこんなに満ち足りた気持ちになるんだなぁと実感し、あらためて、この作品に出てくれてありがとう荒牧さん…!ってなった。

10/13 声の優れた俳優によるドラマリーディング Vol.7「三つの愛と、殺人―芥川 太宰 安吾
公式サイト:
www.koesugu.com

久しぶりの声優さん現場。
元々声オタだった時はあまり朗読劇好きじゃなかったんですが(その時間があるならCDにしてほしいなと思ってた)、俳優オタやるようになってから、朗読劇って面白いな~と思うようになり、今見たらどうなるんだろう?と思ってチケット取って行ってきました。

めちゃくちゃ楽しかった…!その場で消えてしまうことが以前はただもったいないとしか認識できなかったんですが、一回限りの貴重さとして感じられるようになってて、感性ってこんなに変わるんだなぁっていうのもおもしろかったし、俳優さんの朗読劇はなんだかんだでけっこう動きがついてることが多いんですが、多少動きの変化はあるとはいえ、基本は椅子に座ったまま、純粋に「朗読」という感じがすごく新鮮でした。あと、声の表情はやっぱり声優さんの方が豊かというかきめ細かい感じがしますね。

斉藤壮馬くんと花江夏樹くんが出てた回に行ってきたんですが、お芝居そのものも、演技の魅力を存分に味わえる感じでとても贅沢な時間を過ごしました。花江くんの多襄丸は色っぽすぎて、こんなの絶対好きになっちゃうじゃん…って感じだったし、メインの話の間に、別作品の数行の朗読が挟まるんですが、その数行のセリフだけで、人物の姿が立ち上ってくる感じがあって、声優さんってすごいな…って畏敬の念をいだきました。

声優さんの現場が本当に久しぶりで謎にアウェイ感を感じて緊張したりしたんですが(笑)、行ってよかった。


10/14 高崎翔太くんバースデーイベント
前回確か4~500キャパだったと思うのですが、いきなりのらんらんホール(キャパ1000)。
でもおおかた埋まってましたね。

事前発表ありのシークレットMC*1富田翔さんによる MCで、いや~笑った。若手俳優のイベントって推してない人にとっては特段おもしろくないことが多いと思うのですが、翔太くんのに関しては推してなくてもおもしろいのではないかなという印象。まぁでも私もたいがいトキに関して親近感持ってしまってるから実際どうなのかは不明(笑)。

1部2部ともに、本来の衣装と違う服で出てきて「こんな衣装でイベントやるのいやだ!俺は出ない!」って一度ひっこんでなだめられて出てくるっていう茶番があり(茶番いうな)、そのなだめられてるところは"LIVE"というていで映像が流れるんですが、2部でゴミ箱の蓋から顔覗かせてて、さすがに蓋持ってるだけだよね?と思ったら本当にゴミ箱の中に入ってて、めちゃくちゃ受けてしまった。すっぽりゴミ箱におさまった翔太くんかわいかったな~。御年30歳。
あまりにぴったりサイズで一人で出られなくて、翔さんに助けてもらいつつなんとか出てたけど、出た後、翔さんが横に置かれてたゴミ袋をゴミ箱に戻しててさ…リアルに使ってるやつに入ってたことにまた笑ってしまった。笑いに対する本気度がすごい。


10/18,19 リボルバー

知ってる役者さんたちがいっぱい&話おもしろそうってことで見に行ったんですが、期待通りおもしろかった~!原作なしの作品なんですが、すごく2.5作品ぽいというか、原作漫画がありそうな感じの話運びで、不思議な感じでした。

過去一緒だったメンバと再会したことで物語が動き出す…という感じで、過去と現在が交錯する演出が楽しかった…。今に過去がオーバーラップする演出はぐっときてしまう。

見に行ったのは初日と2日目なんですが、二日目めちゃくちゃアドリブ増えてて、しかも入れ方が自由で、さすが慣れてる人ばっかなだけあるわ~って感じだった(笑)

なんだろうな…書きたいことはあるんだけど、感想が難しい。


10/20,22,27 ハイステ東京公演
烏野卒業公演が…始まってしまった…。
2.5にハマるきっかけになった作品であり、俳優沼に堕ちるきっかけになった作品でもあるので感慨深いものがあります。初演時のメンバーはけっこうキャス変してしまってるんだけど、ずっと変わらないキャストもいて、彼らがハイステに出ることはもうこの公演が最後なんだなと思うと…うう。

変な話なんだけど、猪野くんがもうキャス変してしまっていて関係ないことがちょっと悲しいと同時に、キャス変してくれていてよかったなぁという気もしています。ずっと継続して出ていて、この公演を迎えていたら、最後もう会えない寂しさでめちゃくちゃ泣いてしまうんじゃないかなという気がするので…。実際初演時の千秋楽、その時は続くかどうかがわからなかったから、カテコ挨拶を聞きながら「もう彼らには会えないんだ」と思ってライビュ会場で泣きそうになっていたのを覚えています。

ハイステとして目指す形態が公演ごとにクリアになってきているような印象があって、だいぶ洗練されてきたなぁと思う。各校の特色を取り入れたダンスが好きなんだけど、白鳥沢のもいいよね…。「強い」ということを前面に出したダンス良い。


10/28 シュウカツ3 完成披露試写会

久しぶりの映像作品!
オムニバス形式の短編3本のうち1本に荒牧さんが出演しているのですが、推しの演技がめちゃくちゃよかった…!無邪気にゲスなこと言ってたり、突き放すような言い方したりしてるのが新鮮で…、「あ~~今の表情と言い方!たまらん!」みたいに内心で悶えまくってました。3部まわしだったので、3回見たのですが、もうまじで最高だった。また12月にも上映会あるので楽しみ。

あと男性の就活スタイルでは「耳は出す」のがマナーなのかな?普段は髪に隠れてて見えない耳まわりがよく見えるスタイルにセットされてたんですが、耳が見えるのが不思議な感じで謎にテンションあがりました。耳元の斜め後ろからのアップになるとことかあって(メインは向かいの俳優さんの表情)、「貴重な耳元…!」ってすごいどきどきしてたんですけど、そこにテンションあがるのが自分でおもしろかった。


最後、変態な感想での締めになってしまった…(笑)

*1:シークレットしてない

推しの関西弁がかわいい - 音楽朗読劇「ヘブンズ・レコード」感想 (ネタバレなし)

初日おめでとうございます!
……って書き始めてたのに例によって例のごとく、東京公演が終わってしまいました…()。
ツイートではちょこちょこ感想書いて、宣伝に貢献できたかなと思ってるからいいんだ…ということにしておきます。

まだ神戸公演があるのと、お時間ある方は見に行ってほしいなぁ~と思うので、ひとまずはネタバレなし感想を。

21日まで神戸新聞松方ホールで上演してます。
公式サイト:
www.miraiheikiru.jp

あらすじ

阪神・淡路大震災から5年たった神戸が舞台。建物などのハード面は復興し、見た目は街としての姿を取り戻したけれど、人の心はどうなんだろうか…?というお話です。レコード店に訪れた人たちの話を聞く、というていで3組分のお話が出てくるんですが、単純に震災モノだからというだけではなく、話の内容がわりとヘビーなので、震災含めた災害で甚大な被害を受けた経験のある人、知り合いを亡くしたりした人はちょっと注意した方がいいかもしれないです。あ、これあらすじになってないや(笑)。

全体の感想

稽古場の雰囲気もよさそうだし、センセーショナルな演出?ということで楽しみにしてたんですが、けっこう好みな感じでした。

ただ、思ったよりヘビーで、1回目は、見た後、何かずしーんと心にたまっているような重たい感じになって、あと何回か見に行くのに大丈夫かな…という気持ちになりました。けど、その後、2日目マチソワした後、何かあったかいものを受け取ったような気持ちになっていて、そういう風に印象が変わることってあるんだなぁと思って興味深かったです。表面的な出来事の衝撃を受け止めるのに1回目は精一杯だったのが、いったんそこを受け止めて消化したことで、2回目はその奥の感情を受け取れるようになったのかなぁと思っています。

私自身の震災体験

阪神・淡路大震災当時、大阪に住んでいたんですが、まだ小さかったながらも、まわりの大人が大変そうだったことと、とにかく不安だったことを覚えています。ただ、住んでいた地域はそこまで被害が深刻ではなく、知り合いで亡くなった方もいなかったので、今回の朗読劇を見て、初めてそのあたりにまともに思いを馳せたような気がします。

東日本大震災も住んでた地域はそこまでではなかったんですよね。電車が止まったので7km強歩いて自宅まで帰って、帰ったら一帯は停電してるわ、お店からは弁当ご飯類が軒並みなくなってて、仕方なくお菓子買って帰ったりとか、大変ではあったけど、翌週にはほぼいつも通りになって、いつも通りに会社に出勤しながら、あまりにも早く元の生活に戻ったことについていけなくて、化かされているような不思議な気持ちになったのを覚えています。

荒牧さん回と前山さん回

荒牧さんと前山さんとで比較すると、関西弁は前山さんの方が自然ですね。まぁこれはしょうがない。ただ、1話~3話の登場人物の関西弁に関していうと、荒牧さん回の方が関西出身者がいるのもあって聞きやすいかな。
キャラ造形に関してはどっちにも良さがあるので、どちらがいいというのはないかな~。1話は前山さん回の方が村田洋二郎さんのお芝居がとても深みがあって好きなのですが、2話3話は荒牧さん回の方が好き。あと荒牧さんの方がわんこみがあって、前山さんの方がどことなくノーブルな感じがしました。どちらも見るのが違いがわかって楽しいので、余裕があるなら両方見るのをオススメしますw

初日に荒牧さん回を見て、2日目に荒牧→前山とマチソワしたんですが、荒牧さんの回、やっぱり関西弁は難しいよね…って思いながら聞いていたので、前山さんの回聞いた時はさすがに関西弁が自然で聞きやすいなぁってなりました。ただ、荒牧さんの「関西弁でござい!」って感じの、ちょっと強調したようなしゃべりがなんか懐かしいような、物足りないような感じになったのが自分でおかしかったです(笑) 3日目にもう一度荒牧さん回見て、「あ~これこれ!」ってなった。