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再現とかそんなレベルじゃない - 浪漫活劇譚「艶漢」感想

当初3回観劇予定でしたが、初日観て、あまりに素晴らしすぎて、結局もう2回見に行きました。
以下、ネタバレなどは一切気にしてませんので、これからニコ生見る予定の方などは注意。

演出めっちゃ好み…!

舞台上の幕から透けて見えるセットはごちゃごちゃとした感じで、艶漢の世界観まんまだなぁと思っているところに、拍子木から始まる、見世物小屋のような雰囲気漂う、開演前アナウンス。
オープニングの傘演出も素敵だし、障子がいろんな用途に使われてるのも見ていて楽しかった。
古典的なのかもしれないけれど、殺陣に傘と光を使う演出も見たことない感じだったので、新鮮で面白かったです。ちょっと大衆演劇っぽい感じがするのがまた、艶漢っぽい。ところどころで拍子木の音と共に見得を切るのもまたよかった…。
「臨戦態勢ですぜ!」とか、言ってることは相当にアホらしいのに、見得を切られるとかっこよく見えるマジック。

脚本の構成の仕方がすごい

ところどころ、セリフの受け手が原作と違うところがあるなぁ、とは思ってたんですが、原作読み返してみると、エピソードそのまま使ってるところほぼないような。いろんなエピソードから要素をピックアップしてきて、それをシャッフルしたようなことになってて、それでいて、ちゃんと一本のお芝居になっている。
冬陽と彦乃のエピソードのあたりとかよく覚えてなかったので、オリキャラの弟以外は原作沿いなのかなと思っていたら、あらすじだけみたらあの部分とかもはや別物。けど、見た時にまったく違和感なかったんですよね。むしろ、彦乃が「この甲斐性なしがあああ!」と喚くところ、すごく艶漢らしいなと思って観てました。原作の核の部分をつかむのが上手いってことなんでしょうね。

安里まじ安里

キャラビジュアル出た時点から期待はしてたんですが、それ以上だった…。ビジュアル撮影時よりさらに身体が絞られていて、細いんだけど、すごい筋肉ついてる、安里の体型が再現されてて、もう登場シーンで、やばい…という予感が。
動いたらさらにすごかった。歩き方とか、細かいしぐさとかまで、まさしく安里なんですよね。常に小首かしげてるような動きとか、常に腰がくねってる感じとか…。光路郎と初遭遇してボコボコにするとこで、銃うつとこの撃つ前の腕をあげたしぐさが原作の絵面通りだったのは感激でした。その後の謎のマトリックス的な格好まで原作通り。あれはびっくりした。
日替わりネタも安里のキャラをつかんでて最高…と思ってたんですが、原作読み返したら、だいたい原作にあるセリフを持ってきてるんですよね。三上さんの研究具合に脱帽。
安里が原作以上に安里と評していたファンの方がいた、と尚月地先生のツイートにありましたが、わかる気がします。原作の安里を再現した上で、それだけじゃない、何か超えたものを見せてくれたような気がしてます。


艶漢のエッセンスを煮詰めて、ぎゅっと固めたような、浪漫活劇譚「艶漢」。
あの世界を体験できて、本当に幸福でした。
艶漢を好きでよかった、舞台見に行ってよかった。
またあの世界を体験できたらいいな、と心から思います。