考える練習

舞台やイベントの感想など

コブクロ JUKE BOX reading musical ”FAMILY” 感想 (福澤/廣野回、植田/高橋回)

7/18(木)の福澤 侑 / 廣野凌大回と、7/23(火)の植田圭輔 / 高橋祐理回を見ました。
台本は同じですが、細かいところで違ったりするので、福澤/廣野回をベースに書いた後、植田/高橋回との比較にも言及していこうかなと思います。

コブクロ JUKE BOX reading musical”FAMILY” : s-size inc.

本編

会場は紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA。舞台上は全体に薄緑色。その中に、白色のドアや窓、棚や机が配置されている。舞台中央には白い椅子が1つ。手前には枠のように細い棒が4本。後から気づいたが、映画のフィルムを模した枠だった。

18時。まだほんのりざわめきが残る会場にゆらり、と下手から廣野くんが登場。前方から静かになっていく会場。どこかだるそうで、何かをあきらめたような表情。少し重たい足取り。真ん中まできて、ふと、枠に気づき、枠の中の一段高い空間へ。

下手端の机に近づき、引き出しの中から物を取り出しては検分してまた戻す。

いつの間にか上手に福澤さんが登場しており、「君への主題歌」のサビが朗々と響く。
♪君が輝く時 空が色を変えるよ
 遠く離れてても いつでも君が見えるよ

暗くなり、救急車のサイレン、心拍数をはかる機械の音。

明るくなり、知らない場所に戸惑う男1(廣野くん)のモノローグ。

「手をぎゅっと握る癖があった。幼い頃からの癖だ」
「目を瞑ると白い光がつきささる」
「なぜか、泣きたいような気持ちになった」

そこに、男2(福澤さん)が登場。飄々とした感じ。
男2「はじめまして、かな?」
男1「はじめまして」
少し警戒しているような男1。

「俺たちたぶん瀕死なんだよな?」と問いかける男1に、「仮説はある」と宣う男2。
「椅子は1つ。ここに座った人が生き延びる、ということなんじゃないか。どちらが生き残るのにふさわしいか決めようよ」

ドアや窓、棚や机は開けるとなにかが見えるのでは、という話になり、お互いに開けていって、どちらがふさわしいか決める参考にしよう、という男2。

「俺の人生なんてパッとしない、お前が座れよ」と最初から勝負を投げる男1だったが、男2の説得を受け、渋々ロッカーを開ける。
飛び出してきたのは高校時代のエピソードだった。
絵のコンクールで賞を取り、一度は推薦をもらうも、美大を諦めた男1。

その次はドア。
母との言い合い。「そんな時はドアを強く開けて出る」

最初は男2のことを信用できないと思っていたはずなのに、徐々に心を開いていく男1。
「なぜかするする話してしまう」
「はじめましてと言われたからはじめましてだと思った。違和感がある」

恋の話とかないの?とふられた男1。
恋愛遍歴はさんざんだったよ、と語る。
「なんか違うって振られて」
「浮気されて」

両開きの窓を押し開けると、ふわぁっと舞い込む花びら。
男2「花曇りだ」

男1、思いに沈むような顔になり、「春が来る度に思い出す人がいる」

相手がふらつきそうになったところを支えようとしたら、一緒に転んじゃったのが出会い、と語る男1。
男2「えっ、いい出会いじゃん」
男1「いや、怒られた(笑)。支えるならちゃんと支えてよ!って」

ここで男2が女の子役に。
あれは桜だ、いや桜ではない、と喧々諤々言い合う女の子と男1。
男1「桜じゃなかったら残念なの?」
女の子「残念はおかしいね」
シェイクスピアの「名前が何でしょう? 私たちがバラと呼んでいるあの花は、他の名前で呼ばれても、甘い香りは変わらない」を原文でそらんじる女の子。

舞台中央、枠のあたりでカーテンを開ける動作をする男1。(窓だったかも)
出てきたのは会社でのエピソードだった。
結局美大をあきらめ、普通の大学に進学した男1。それでも絵に関わること自体は諦めきれず、デザイン会社に就職していた。
「少しでも近くにいたくて、でもすぐそばでその雰囲気を感じ続けることは思ったよりもきつかった」(※ここ文言かなり曖昧です)
男2が会社の先輩役に。
先輩から「絵描いてた?」と問われ動揺する。
男1「どうして…」
先輩「こないだのプレゼン資料見てて、なんとなくそうなのかなって」

(ここでなにかオリオン座のエピソードが出てたけど忘れてしまった…)

残ったのは柱時計。

男2「一瞬のような永遠、永遠のような一瞬」

開けようとする男2、腕を掴んで止める男1。
男1「なぜだかわからない、でも気がついたら男の腕を強く掴んでいた」

男2の回想に入る。空が好きになったエピソード。
女の子との出会い。
男1が女の子役に。

男2「息をとめたら、時が止まるんじゃないかって思ったことある」
女の子「わかる!目をつぶったら時が止まるんじゃないかって思ったことある」

男2「一瞬のような永遠、永遠のような一瞬」
女の子「何?ポエム?」

わからないならわからなくていい、という男2に
女の子「違う、わからないけど、わかりたいの」
女の子「すごくない?わからないのに、分かりたいって思うんだよ」

男2「恋に落ちたのは一瞬だった」
懐かしむような目。

回想が終わり、もう開けられるものはすべて開けた。
どちらが生き残るかをかけて、椅子取りゲームをやろうと持ちかける男2。
いいよ、お前が座れよ、というスタンスを変えない男1に、「諦めんなよ!」と怒る男2。

暗くなり、男2の回想。
工事現場のそばを通りかかった際に崩れた足場の下敷きになり、妻とお腹の子を助けて男2は亡くなったことが語られる。

暗転があけ、目に涙をためている男1。

男2「だから、君が座るべきだ」
座ったらもう会えなくなることを察知してふるふると首をふる男1。

生まれてくる赤ん坊がぎゅっと手を握っているのはなんでだと思う?
希望が入ってるんだ、と語る男2。

「僕の大好きな人が君のことを待ってる」

ゆっくりと椅子に座る男1。
後ろから力強く肩を抱き、励ます男2。

ここで歌唱があってからの、客席を通ってはけていく男2。じっと見送る男1。

(確か)男1もいったんはけてから、再度登場。
下手の机が男2の机であることがわかる。
男1「どこか懐かしいような感じがした」

引き出しを開け、物を取り出しては検分していく。
映画のチケット、車のプラモデル…
男1あての、手紙。中身を見て、やわらかい笑顔に。

感想

福澤/廣野回をベースに…と書いたけど、違いが出ていた部分に言及できなかった(笑)。

やっぱ感想記事は間を空けたらだめだな~~~!(大の字)
ざっとはその日と2回目見たあたりで書いてたんですが、ここ覚えてたはずが~~が発生している。くやしい。

2回見て思ったのが、男1が推しの場合は、推しの回が初見の方が同じ視点になるのでいいと思うんですけど、男2が推しの場合は、話わかった状態で見た方が、「あ、ここでこの表情をしているのは…」というのがリアルタイムで認識できるからいいのかもな~ということでした。まぁ事前に知りようがないんですけど…(笑) 2回目見た時に、このシーンで福澤さんどういう表情してたんだろう、ってちょこちょこ気になったので…。


男1、男2どちらも恋愛のエピソードがめちゃめちゃよかったので、まずはその点について。

「桜じゃなかったら残念なの?」というところ、廣野くん回では、それまで少し距離をあけて座っていたのをきゅっと距離を詰めながら言っていて、めちゃめちゃときめきました。同時に「女子に対してその距離の詰め方ができるやつは寂しい恋愛通歴にはならないんだよな〜〜!」というつっこみがわいてしまい、心中忙しかったです(笑)。ゆうりくん回では終始少し距離があいたままの状態だったんですが、台本の解釈としてはそっちの方が正しいのではないかな~と思っている。でもそれはそれとしてあれは萌える…。また、距離をつめたのが演出ではなく、廣野くんの発案であるという点にもめちゃめちゃ沸きました。

男2の恋愛エピソードでは、女の子役をしている廣野くんがめちゃめちゃかわいくてですね…。少し高めの声だけども無理に女声を作っているというよりは芝居でそう聞こえる感じ。「わからないけど、わかりたいの」で、男2を見る目があまりにもまっすぐで、真剣で。私が恋に落ちました(?)。

シェイクスピアの有名なセリフ「バラは他の名前で呼ばれても香りは変わらない」へのまさかの原文での言及、福澤さん回ではすらすら言ってて、「いや待ってわからんwww」という笑いと、サブカルイキリ感があっておもしろかったんですが(笑)、植田さん回ではたどたどしく読んでて、そうすると、「英語得意じゃないけどシェイクスピア好きすぎて原文も覚えている人」みたいな感じに見えて、だいぶ印象が違って興味深かったです。


男2の造形の違いの話。
福澤さんの男2はかなり飄々とした感じで、本当に知っているのか、そう見えるだけなのかいまいちわからない感じだったんですが、植田さんの男2はちょっと厳粛というか重々しい感じで、今思うと、最初からわかってそう感。2回目だったのもあり、「ここからあのラストにどうつなげるんだ?」と思ったんですが、徐々に雰囲気がやわらかくなっていって、最終的には福澤さんverと同じような印象に。

男1の解釈は廣野くんもゆうりくんも同じ感じかなと思うんですが、その分、演技スタイルの違いや人と関わる時の距離感の違いが出ていた感じ。廣野くんの方が距離感が近い。そういえば、最初の枠内に入るところ、廣野くんは気づいてからわりとすっと枠内に登ってたんですが、ゆうりくんは気づいてからちょっと「ここはなんだ…?」って警戒するような感じを出してから入っていて微妙に性格の違いを感じました。


終盤、男2が自分の父親であることを男1が悟ったあたりからの、目にいっぱい涙をためた廣野くんがもうなんか幼子みたいでめちゃくちゃかわいかった…。もうこの後は会えないんだよなぁと思って私もうるうる。

男2が男1を励ますように、力強く後ろから抱きしめるところでボロ泣きしました。たぶん、この瞬間自体の記憶はなくなるんだろうなと思ったんですけど、たとえ表面上の記憶からは消えても、心の奥にはきっと残っていて、このエールがずっと力になるんだろうなと思って、その祈りというか愛情にぐっときて、同時にもう会えなくなるという悲しみもあって、ぐちゃぐちゃになってしまった。このシーンは思い出すたびにうるうるしてしまう。

植田さんの泣き上戸っぷりについて。
とある舞台での泣き演技で、これは演技として泣いてるというより、ガチ泣きでは…!?というのを目にして、この人すごいな!?とめちゃめちゃびっくりしたことがあったんですが、今作では「恋に落ちたのは一瞬だった」のあたりからもう目が泣いてて。とはいえ、泣いてしまうにはまだ全然早いので、ずっと抑えて芝居しなくてはならず、涙に流れそうになったのをぐっと気を引き締めて踏みとどまった瞬間があったりして、ここまで泣きやすいとそれはそれで制御が大変なんだな…と別のところで感心してしまいました。

終盤の男2が父親だとわかったあたりで男1が泣いてるのはどっちのペアも一緒だったんですけど、植ちゃんのペアはもう男2の方がぐずぐずになってて(笑)。体格差があまりなかったのもあって、椅子に座った男1を抱きしめるというよりは追いすがるような感じに見えて、どちらが子供なのか?みたいになってておもしろかった。

男2が客席通路を通ってはけていくとき、福澤/廣野回は、座席が前方サイドだったのと、廣野くんをずっと見てたのもあって、男2の表情を見れなかったんですが、植田回では、通路前ぐらいだったので、けっこうちゃんと見れて、はけてく男2がやわらかい笑顔で…すごくあたたかい気持ちになりました。


カテコはさくっと「ありがとうございました!」で終わりなのかと思いきやそこそこ長尺で喋ってくれたんですが、福澤/廣野回は自由だった…(笑)。

  • 「本番はちゃんとしよう」って
  • spi/北園回を見た、よかったよ、という福澤さんに「spiさんと涼くん?絶対血つながってないじゃん!」と言い出す廣野くん
    • 「俺と福澤はさ、見た目こんなんだし性格もさ…」と似てる点を列挙していく
      • 性格は知らんけど見た目は似て…なくね…?? でもいっぱい似てるとこあると思ってるのはかわいい
  • 福澤さんが「パパやってみてどうですか?」みたいなことを聞かれて「もうそんな年なんだなと…」的な話をしていた
  • 廣野「普段こういう聞かせるタイプの歌うたわないから、逆に緊張した」
  • トリプルカテコに
    • 「トリプルになりますかね~って話を裏でしてて」と嬉しそうな福澤さん
    • お互いの服装を見て廣野くん「漫才師みたいだよね」「青空親子」「嫌だwww」
      • 漫才みたいな調子でなんとなくしゃべりだす二人
    • カテコがまだあるかどうか微妙な時のお客さんの様子を再現する廣野くん(拍手しながら上の方をうかがう感じ)
  • 終演アナウンスが流れる中、鳴り止まない拍手。もっかいカテコはさすがにないかな?どうだろ?というところでダメ押しで再度終演アナウンスが流れ、会場笑い

植田/高橋回もわりと自由にフリートークではあったんですが、植ちゃんがきっちりトークをまわしていて、ちゃんと終演後のトークという感じ(笑)。
ゆうりくんは初めての朗読だったそうで、植ちゃんに「これめっちゃ大変な方だよ!」と言われていた。
二人は同じ事務所(Pasture)ということで、「大先輩と共演できて光栄」というゆうりくんに、いや事務所の歴としてはあなたのほうが先輩なので…みたいな関係性が発生していた(笑)