考える練習

舞台やイベントの感想など

ランキングについて考えてみた

若干時期を逸した感がありますが、約3週間前に界隈をざわつかせたランキングについての話です。


発端は 10/19,20 の深夜に関東ローカルで放送された「お願いランキング」。毎週何かしらのランキングを発表している番組で、その週のテーマが2.5次元俳優でした。

事前にWebでアンケートが実施されており(投票者数は約2万人だったらしい)、30位~21位はYoutubeでの発表、20位~1位は番組内での発表でした。俳優によっては本人へのインタビュー映像があり、投票してくれたことへのお礼だったり、投票時のコメントに対しての感想をインタビュアーに求められて答えたり、といった内容。

30位~21位についてはこちらのリンクから、
https://www.youtube.com/watch?v=nAz_k6TpnYM
20位~1位についてもダイジェスト版がこちらのリンクから見れます。
https://www.youtube.com/watch?v=Qyu9_xmPLn0
(タレントさんたちのトーク部分がまるっとなくなってますが、俳優さんたちのコメントとかは放送時と同じなようです)

ランキングで2位だったAさんのコメントが下記:

たくさんの投票、ありがとうございました。

実を言うと…まぁちょっとこのランキングの番組に出させてもらってアレなんですけど、本当は僕自身この自分がランキングをつけられるというものはあまり… どうなんだろうなというか。
順位付けをするっていうのはたぶんファンの方々にとってとても苦しいことだとはすごく思うので、ちょっと辞退しようかなとか思ったんですけど、たくさんの方々がこうして形にして応援してくださったのを無下にするのも本当に申し訳ないなと思いまして、こうやって出させていただきました。

これからはそのランキングとかじゃなくて、みなさま、僕自身を応援してくれている方々の中での1位であれば、僕はすごく十分だとは思っていますので。これからもよろしくお願いします。
本当にありがとうございました。

(文字起こしするために何度か聞いてみて気づきましたが、めちゃめちゃ言葉選んでますね)

さらに放送終了後、Aさん本人のtwitterアカウントにて、下記投稿がありました。
https://twitter.com/ara_mackey/status/1318594190821842944
( 不具合なのか、埋め込みにしても画像が表示されない、、のでリンクにて)


番組は2日にわけての放送で、1日目に流れた予告でAさんのコメントがあるのはわかってたので楽しみにしてたんですが、いや~まさかそこでこういうコメントするとは思わなかったよね(笑) あのコメントを放送にのせた「お願いランキング」側も懐が広い。

個人的にはあの手のランキング好きなので、おそらくそれをなくしたいのであろうAさんに対しては、私は反対の立場なんですが(笑)、「たとえ波風立てようとも、自分が正しいと思ったことをする」という時折のぞく頑固者ムーブがめちゃくちゃ好きなので非常にテンションあがりました。基本的には柔軟で、自分の我より全体にとって何が最善なのか?を大切にする人だと思うんですけど、ここだけは譲れないってポイントでは自分を曲げないんですよね。こういうところが本当にこの人はおもしろいな~と思います。


Aさんが最近ときどき言うように「界隈を盛り上げたい」なら、こういうランキングってあった方がいいと思うんですよね。ちょっとジャンル違いになりますが、「声優アワード」なんかはまさにそのために導入された賞だし、「本屋大賞」もそうですよね。声優アワードの方は、ファンの投票がそのまま受賞を決めるわけでは(確か)なかったように思いますが、それでもファンの投票がベースだし、本屋大賞はまさに投票で順位が決まります。

それと、今回このランキングの上位に入ったことで新たな仕事が発生する人とか、マネージャーさんが売り込む際に材料として使えるようになる人もいると思うんですよね。そういう上位に入ることによるメリットはAさん自身が理解してるはずで、でもそのメリットをおいても、役者やファンの中に順位付けで悩んだり苦しんだりしている人がいることを直接/間接的に見聞きしていて、そういうのをなくしていきたいと考えたのかな~と推測しています。


Aさんのコメントに対して「その順位でそんなコメントをするのは嫌味だ」という感想もあったようで、まぁそれはそうなんですよね(笑) さっき書いたように、上位に入ったことによって発生する得は絶対あるので、その状況で「こういう順位付けよくないと思うんですよ」と発言し、実質次回からの辞退をほのめかすのは「自分はそのメリットを捨てても構わない」という表明でもあるので、強者の余裕だよな~というのは私も思います。

ただ、逆に言うと、今回の発言、ある程度上位じゃないと意味ない発言でもあるんですよね。微妙な順位の人が言っても「上位にいけない僻みでしょ」と捉えられかねない。

あと、「ランキング批判するにしても、タイミングを考えてほしかった。喜んだ人たちの立場がない」という意見もちらほら見かけて、これも確かにそう…。なんですけど、このタイミングだからこそ印象に残り、話題になったんだと思うので、あえてじゃないかな~と個人的には思ってます。番組批判ともとれる、リスクの高い発言をする以上、ちゃんと効果を残したかったんじゃないかなと。


上の方で書いたように、私自身はこの手のランキング好きなんですが、とはいえ、あのランキングにまったく問題がないとは思っていません。今回のランキング固有の問題というより、2.5俳優でどうこう、みたいなランキングには共通の問題があると思っていて、「上位が固定化しがち」なのと、「ビッグタイトルの人気キャラを演じたかどうかでほぼ結果が決まってしまう」点です。

これたぶん、舞台のチケット代の高さが原因だと思うんですよね。
テレビで見るならただで見られるアニメやドラマ、もしくは1,000円~1,800円で見られる映画と違い、舞台作品は劇場で見るなら 8,000円~10,000円、ライビュや配信で見るにしても3~4,000円かかってしまいます。そうなると「ちょっと気になる」程度では見ないんですよね。「これはきっとおもしろいぞ」と確信できるぐらいじゃないと見ない。結果、前評判の高い作品(要は人気原作作品)に見る人が集中しがちで、ビッグタイトルに出れば大勢の人に見てもらえるけれども、そうじゃないタイトルだとそもそも見ている人の数が全然少ない、みたいなことになってしまう。

また、そもそも配信がない場合は、劇場へ足を運べる人しか見なくなってしまうので、さらに見る人が激減。2.5界隈でうろうろしてる人ならよくよくわかっていることではありますが、あの手のランキングに入るためには、ライビュや配信がある作品に出ることが必須です。もうそもそも最初の、目にする人の母数が全然違う。


ああいうランキングって入れ替わることで今のトレンドがわかることと、「こういう人もいるんだ」と発見する材料になる点が重要だと思ってるんですが、順位が固定化されるとその機能が死んでしまうんですよね…。今回のランキングだと11位~30位はけっこう予想がつかなくて、「おっ、この人がここに?」とか「今はこの作品が強いのか~」とかあって面白かったんですが、その意味では7位以上とか、完全にいつものメンバーって感じだったので、そこが入れ替わるような仕組みがなんかできたらいいのにな~と思っています。