円盤見てみての感想でございます。
普通にネタバレありの感想なので、これから見る予定の方は注意。
ただ、見た人しかわからない感想となっています(笑)
フォロワさんと観劇予定がかぶった時に、「ちょうどさっき返してもらったんだけど、よかったら見ます?」と言われて、「あ、じゃあ借ります~」とお借りしました(笑)
TRUMPは何回も再演されていて、いろいろバージョンがあるようなんですが、2015年に上演されたバージョンの reverse の方の感想です。
話自体の感想
いろいろ発見があっておもしろかったんですけど、ひとまずは話の感想を。
上演当時、一度劇場で見てるんですけど、まじで話の内容覚えてなくてびっくりしました。ヴァンパイアの話で、人との間の子がダンピールと呼ばれて疎まれていること、咬むとイニシアチブが発生すること、っていう基本設定ぐらいしか覚えてなかった。
そういえばこんなキャラいたなぁ、うんうんと思って見てたら末満さんがダリ卿で登場したのめちゃくちゃ笑ってしまったwあれずるくない?w 当時は末満さん知らなかったからキャラとしてのおかしさしかなかったんだけど、今見るといろんな相乗効果ですごくおかしい。人間椅子でハーレムみたいになってるの好き。
「アレンはもうなくなってるんだ!」で「えっ!?!?」ってめちゃくちゃ驚いたんですけど、振り返るとアレンとピエトロ、モブとしての登場以外はティーチャークラウスとしか絡んでないんですよね。アレンの名を呼びながら駆けていくクラウスを見て、ティーチャーミケランジェロが「あらまたおかしくなっちゃったわ」っていうシーン、必死すぎる点を指してるのかと思ってたら、もういなくなった人を探している点を指してたんだなと気づいて、そわぁっとしました。
クラウスが序盤からずっと「ソフィさえいなければ……」って据わった目で言う一方で、「いい匂いがする」ってやたら言ってるのが矛盾しているようで謎で、これどういう意味なんだろう?って思ってたんですが、終盤種明かしが来て、なるほど…!ってなって、うまいな~ってしみじみ感嘆してしまった。最初、クラウスはいつソフィを殺しにかかるんだろうな~って思ってたんですが、そんな単純な話じゃなかったw
実際には直接の子供じゃないから、ソフィはもう関係ないんだけど、アレンが人間をはらませてしまわなければ、おそらくあそこまで問題は大きくならなかった、という点で恨みの対象なんですよね。でも一方で、アレンの血を引く子供だから、「いい匂いがする」し、死なせたくないという思いがある。
クラウスはやることなすこと裏目に出てしまう感じがあって、せっかく再建したクランを崩壊させてしまうシーンとか本当にさぁ…。まだ人生長い(というか死ねない)し、また再建するのかなぁ、どうなんでしょうね。
悠久の時を生きる人物に、舌っ足らずなキャラが核心的なセリフを言う…ってところでめちゃくちゃ既視感を感じました…笑(因果関係が逆だけどw)。
悲伝の鵺ちゃん大好きなんだけど、アレンも超かわいいよね…。なんか見覚えあるなと思ったら陳内将さんだったのめちゃくちゃびっくりした。すごいどうでもいいことなんですが、私は養成所に一瞬行ってた時に、この手の不思議ちゃんキャラをやって「なんにもおもしろくない」ってぼこぼこに言われたことがあるんですけど(笑)、プロがやるとこうなるんだな~ってしみじみ感じました。何気ない動作から不思議な感じが漂ってるんですよね。
アレンが見ている世界はたぶんにファンタジーを含んだ世界で、「もう少しで星に手が届く」というのは、決して叶わない願いなんだけど、「クラウスはすぐ諦めちゃうんだね」っていうセリフにすごくハッとしてしまうのはなんなんだろうな…。アレンが諦めないで済むのは単に見えてないからだってわかってるのに、なにか否定できないように思うのは、諦めないこと、希望を抱き続けることを信じたいからなのかなぁとか思ったりしました。
あと細かい感想。
心が動かない
見てて驚いたのが、全然心が動かない! 「話はおもしろい…気がする、んだけど、全然心が動かないな…?」って困惑してたんですが、今、あらためて振り返りながら上記の感想書いてて、話はおもしろいんですよ。でも、見てる時に感情がほぼ揺さぶられなくて、なんだこれ?って。
普段芝居観る見方が、私は心で登場人物の感情を受け取って、それによって揺さぶられるのを楽しむっていう感じなので、ほぼほぼ動かなくて凪みたいな状態だったので、すごい困惑しました。
まったくではないのは、アレンとクラウスの会話では、ちょっとハッとしたり心が揺さぶられたりしたからなんだけど、最後のウルとソフィのエピソードとかめちゃくちゃ悲劇的で悲しいんだけど、ウルの渾身の叫びを聞いてても、書き割りの向こうの他人の人生眺めてる感がすごく強くて、なんかこんなことってあるんだなーと。円盤だからかな?とも思うんですが、劇場で見た時に「うーん、いまいちだったな…」と思った記憶があるので、たぶん劇場で見た時も同じように心動かされずに終わったんだと思うんですよね。
当時はまだ、ハイステで初めて2.5次元舞台を見て、こういうのおもしろいなって思った直後ぐらい。それまでは、年1回ぐらい、気が向いた時にお芝居見に行くっていうスタンスだったんで、見るスキルがぺーぺーで、あらすじをあとから振り返ることができなかったので、単純に心動かされずに終わった点だけ残って、いまいちだったなってなったんだろうなぁ。そう考えるといつの間にかスキルUPしてたんだなぁという点で感慨深い。
もしかして末満さんの作品って、心情で寄り添って見るっていう見方を拒否するタイプの作品なのかな? それとも単に私との相性の問題なのか。普段私と同じように、寄り添って見て、心が動かされる見方をしてる人が、どう感じるのか気になる。
そういえば、この作品においては登場人物の行動理由の描写や説明がすごく丁寧で、悲伝の不親切さはなんだったんだろうなってなりました。やはり公式側からの要件だったんだろうか…。
言わない、聞かない
印象的だったのが「言わない、聞かない」、もしくはそれをしようとしたところで邪魔が入るシチュエーションが頻出すること。10とは言わないまでも、7,8回はあるんじゃないかな。悲伝でさんざん「うん…?」ってなった後だったから、また出てきた、あ、まただってめちゃくちゃ印象的で、たぶん末満さん、こういうのが好きなんだろうな…って思っておもしろかったです。
散々出てくるのを見てて、あ、そうかって思ったのが、邪魔が入るシチュエーションに関しては、単純に、会話の聞き手と観客へのほのめかしでいいと思うんだけど、言わない・聞かないに関しては、単に情報伝達が行われないだけじゃなくて、恐れや不安、ためらいなんかの表現なんですよね。私のような単純スピリットで生きてる者は言わない・聞かない理由を2,3パターンしか持ってないからあまり読み取れないんだけど、こういう表現が好きな人はより楽しいんだろうなぁと感じました。