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聞こえた? - ENG第八回公演「山茶花」感想

小玉百夏さんが出るというので気になってたところにフォロワさんが感想つぶやかれてて、よさそうだったのでふらっと当日券で行ってきました。悲伝のわからなさにずっと悩んでたところに行ったので、素直に見て話の筋がちゃんとわかることにめちゃくちゃ安心した(笑)


◯あらすじ
飛騨の山奥に生息する妖怪「やまこ」
この妖怪 雄しか生まれないため 人間の女をさらい 子を産ませる…

やまこの青年「サンサカ」とその弟「ヒゴ」と「シシ」は嫁さん探しのため
妖怪の里から人間界に降り立った
都への道中 山賊に囚われた少女「つばき」に出会う
生まれて初めてみた女に話しかけるつもりが山賊に捕まり
四人が連れて行かれたのは人里離れた森の奥深く そびえ立つ大屋敷
そこは大商人・藤屋源兵衛のハーレムだった

山茶花(さざんか)の花言葉は「理想の恋」

つばきと出会い やまこにとっては禁断の「ヒトの愛」を知ってしまった
サンサカは 彼女を自由にするために人間達に立ち向かう…

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あらすじ読んだときの印象ではわりと重い話なのかなと思ってたんですが、やまこ三兄弟がヒトの習慣を知らないというところにとどまらない、ちょっと天然な感じなのもあいまって、全体にコミカルな印象。

サンサカは「書庫にあった人間の書いた書物は全部読んだからな!」って時々自慢げに言うんですが、そのわりに知識がけっこう間違っているのが謎。君はどこでその知識を得たんだ(笑) 相手を褒める時に両手を顎の下に添えて「けっこうなお点前で!」って言うやつが好き。

里にメスがいないのもあってか、男と女の区別がつかなくて、「お前女だろ。えっ違うのか!?」と真剣に驚くシシがかわいい。

ただ、お話自体はめっちゃヘビー。

そもそも山賊が人さらいをしているのは、藤屋源兵衛が気に入れば高く買ってくれるからなんですが、源兵衛もね…母親の面影を追い求めて女を探してるという。母親を想って泣く源兵衛が悲しい。
ハーレムの女たちでは千里さんのエピソードがまた悲しい。「私にはここしかないから」って最後に屋敷が燃えた時に、積極的に残るんですよね。拾ってくれた(?)ことに恩義を感じてるようだったんですが、なんかその愛の向け方が子供が親に向けるそれのようで…もう完全に大人だし、たぶん女たちの中でも年かさなほうだと思うんですけど、あの瞬間は幼子がだぶって見えた。

で、まぁ源兵衛のお屋敷が燃えて。
混乱の中逃げ出して、これからはサンサカとつばき、二人で幸せに暮らそうね、ってエンドかと思いきや、まさかのサンサカが亡くなってしまうという…。う、嘘やろ…ってなりました。

ただ、ラストシーン、サンサカがヒゴとシシに呼びかけて、元気であることを示そう!っていって兄弟3人で遠吠えするところ、無音という演出だったのがすごくよかったなぁ…と思いました。BGMも止まって、しん…とした中に、確かに遠吠えが聞こえて。こんなことってあるんだって。それに気づいて泣きながら笑うつばきの笑顔がとても尊かった。切なくて美しいシーンでした。

カーテンコールで二人が仲よさげなのがまた悲しかったな~。少し道が違っていればありえたんじゃないかと思って。カテコ3回目の時かな? ヒゴが二人をどーんってくっつけさせて、びっくりしてからの照れ笑いにめちゃくちゃきゅんとしました。


ひとつ誤算だったのが、小玉さん、普通の娘役だからアクションがないんですよね(笑) もともと別の舞台でアクションシーンの動き見て、「めっちゃ動ける人だ!」と思って気になってたので、今回もそこ期待してる部分があったんですが、山賊に襲われるシーンで、小刀出すものの、気の強さで対抗って感じで戦えないのを見て、あっそうか!ってなってちょっとしょんぼりしてました。でもサッと人をかわす仕草とかが動ける人の動きでちょっとおもしろかった。