考える練習

舞台やイベントの感想など

舞台 「刀剣乱舞」ジョ伝 三つら星刀語り 感想

東京公演見た段階から感想書き始めてたんですが、気がついたら千秋楽終わってました。あれ…?
もうライビュありの千秋楽も終わったし、大丈夫だと思いますが、いつものことながら、ネタバレ配慮はしてませんのでお気をつけください。













新作は山姥切が隊長をおりることになった時の話であることが明らかになった時に、悲惨な結末を迎えて終わるんだろうな、と思っていて、それはそれで楽しみではあるけど、ちょっと覚悟して観劇に行きました。

実際蓋を開けてみたら、三日月顕現前の過去編と「義伝」より後の現在編という構成になっていて、悲惨な結末にいたった過去の自分たちを手助けし、正しい歴史になるよう修正していく中で、現在の視点から見直すような話になっていて、観劇後の感覚がとても爽やかで、何度でも観られる作品になっていて、とても楽しかったです。


いきなり骨喰の負傷から始まり、なんとも不穏な空気の中での一幕スタート。

全体にどよーんとしている中でも、いろいろ胸キュンポイントがあり、まず最初のポイントは、初期刀の顕現。すごい単純な仕掛けだけど、舞い散る桜の映像と共にまんばちゃんがぱって現れた瞬間、「わ、顕現した!!」って思って超テンションあがった。あそこ正面から見たらまさしくゲームと一緒!ってなるんだろうなぁ。今からライビュが楽しみです。私は初期刀は加州だったので、そういう意味ではまんまではないのですが、山伏国広が言う、初期刀は吟味して決めたはずだっていうセリフとあわせて、初期刀を選んだ時、ゲームを始めた時を思い出して、胸がぎゅっとなりました。

元々公表されていたあらすじ通り、どんどん不穏な方向へ突き進んでいく部隊。「どうするんだよ」って聞かれて「俺に聞かれても…」となる山姥切。あらためて考えるとわりと無茶ですよね。今作で歴史勉強会なるものを行っていることが明かされましたが、戦場においてどう振る舞うべきかの勉強会は特にないみたいだし、そうするともう最初は勘でなんとかするしかない。

その中で山伏国広が俺が引き受けるぜ!とばかりに、ばしばし決断していくのが救いになるという。まぁ独断だしわりと考えなしではあるけど…(笑)。どっちも選べない時ってたいがい、どっちを選んでも同じなんですよね。ならさっさとどちらかに決めてしまった方がいい。経験値としては山姥切と変わらないか、より少ないはずなので、山伏国広はそれを本能で把握してるんだろうなぁ。

山姥切が、まだ行ける!まだ行ける!ってゴリ押しして、大変なことになってしまうの、ゲームし始めのどこまで進軍して大丈夫なのかわからない感じとオーバーラップする感じがあって、おもしろかった。私自身は刀剣乱舞では折ったことはないんですが、なんのことはない、その前にやっていた艦これで一度轟沈させてしまったことがあり、その経験から用心深かっただけという。キャラクターっていうのはデジタルデータで、元から存在しないものではあるんですけど、うっかり轟沈させてしまった時はめちゃくちゃショックでしたね…。しばらく呆然とした。

山伏国広が折れるシーン、ゲームはプレイしてるのでお守りがあれば大丈夫なのは知ってましたが、お守り持ってる描写がなかったのと、山姥切が悲愴な声を出してたので、あ、お、折れちゃう…と思って真剣に動揺しました。そしたら復活してきたから、お守り以外の要素で復活したんだと思って、何の力で??って混乱した。蘇ったけど、実は中身は別人の山伏国広になってて、話す度に「あいつはもういない」ことを実感してまんばちゃんがより深い絶望を味わう展開になるのでは…と思ったけど、深読みしすぎでしたね。いやでもあれ、え??ってなるよね。ならない?

え、これどうするんだ…?と思ったところからの、のんびりした雰囲気での現代編。あのシーンはその空気感にほっとしたなぁ。先程までの話しが過去の話であることと、ソハヤはそのあたりをよく知らないことについての言及があって、なるほど!って合点がいった。

三日月顕現前なのにソハヤと博多??ってみんなで首かしげてたけど、あれプロデューサーからの要請だったんですね(パンフ情報)。要請が本当に無茶ぶりですごいよなぁ…。解決策を思いついた末満さんはすごい。

二幕で種明かししながらの一幕ダイジェストはパズルのピースがはまっていくような爽快感があってすごく楽しかった。同じシーンでも見方が変わると全然意味合いが変わるって意味でもあれは興味深かった。

山小屋で険悪な雰囲気になった後、同田貫が長谷部に「何か言ったか?」って聞くシーン、私は勝手にすれ違いとか不穏な空気感を感じ取ってドキドキしたんだけど、実際に(現在の)長谷部が喋ってたのを聞き取ってしまっていただけなんですよね。勝手な思い込みこわい。

骨喰の謎のハグが伏線だったことがわかったりとか。下手サイドの時によく見えたんですけど、あれちゃんと自分の服からお守り出して、山伏の服に仕込んでるんですよね。一幕の時も。ちゃんとやってるんだ…!と思って感心した*1。あと長政さまに「怪しいやつらじゃ!」って誰何される場面、一幕はドキドキシーンだけど、二幕では笑えるシーンになってるの好き。過去の長谷部たちに現在の山姥切と山伏がうっかり遭遇してしまうシーンも楽しい。

そういえば大阪公演楽日の昼公演で、山姥切の腰の防具(草摺っていうんだっけ)が落ちてしまうアクシデントがあったのですが、2回あるシーンのうちのひとつだったんですよ*2。で、2回目に同じところ来た時に、ほぼ同じあたりでまた落ちたので、「偶然がループを再現している…!?」と思ってめちゃくちゃびっくりしました。2回目はわざと落としたのでは?という感想も見かけたのですが、それならそれですごいですよね。アクシデントをあの短い時間でちゃんと筋書きに組み込み、それを実行する男、荒牧慶彦…。

どちらが正しいのか

これまでも、歴史を守るためには元の主が殺されるのを見過ごさなければならないという展開が出てきていて、「歴史を守る」ということは無条件で正しいのか?という問いが出ていたように思うのですが、今回、弥助という明確に時間遡行軍のやっていることを手助けしたい者が現れたことで、その面がより強く出ていたように思いました。

信長様の命を奪った歴史を私は許さない、復讐するという弥助の激情を押し殺した声を聞きながら、「そうだよなぁ…」って。刀剣男士はそれが任務だと叩き込まれてるからなんだかんだで歴史を守る方を選択するけど、それがなかったらそりゃそっちを選ぶよなぁ…って感じだし、そもそも、その時代に生きてる人たちからすれば、それは単なる未来なんですよね。自らの行動によって変えられる未来。

しかも今回、歴史を守るためとはいえ、刀剣男士たち自身も、過去の自分たちを手助けすることで、過去に手を加えている。弥助の行動は駄目で、刀剣男士たちの行動がOKなのは、それが「正しい」とされているから。

このあたりが今後、どう影響してくるのか、楽しみで同時に怖い。

*1:って東京公演見た段階で書いてたんですが、大千秋楽では演出が変わってて、最初からお守り持った状態になってた

*2:長政に怪しいやつらじゃって誰何されるあたりのシーン