考える練習

舞台やイベントの感想など

刀ステ慈伝 日日の葉よ散るらむ 感想 (ネタバレあり)

東京公演と大阪公演、1回ずつ観劇しました。

冒頭10分ほど聚楽第についての映像。
山姥切長義が本丸にやってくることになり、なんとか山姥切国広にあわせまいと奮闘するメンバーと、別に気にすることないでしょ、というメンバーとの間ですったもんだが繰り広げられるコメディパートを経て、ご対面からのシリアスパート。長義の申し出により、本丸全体を使った大掛かりな手合わせをすることになるが、果たして結果やいかに…という内容。

コメディは何かが噛み合わないだけで悲しいことになる可能性がある、わりと難しいジャンルだと思ってるんですが、テンポや間合いが良い感じで、スベリ芸ではなく、ちゃんと中身を見て笑える感じで安心して見ることが出来、とても楽しかったです。

OPからわちゃわちゃしていてかわいかった~まさか内番衣装でOPスタートするとは思わなかった。アニメの表現手法を移植してきてるような感じの演出だったのもあって、より「花丸」感が。

特に好きなのが、長義が布をかぶった鶴丸を山姥切国広と勘違いするシーン。鶴丸がまんばちゃんの真似しだした時点でウケてたんですが、そこからどんどんテンポよく掛け合いが畳み掛けられるから、笑い死ぬかと思った(笑) 梅津さん、コミックリリーフ的な情けない声うまいですね。「その目、気に入らないな」「見てないだろお!?」のところとか大好き。

あと逆に長義が鶴丸と勘違いされるシーンも好きです。長義を見たまんばちゃんがさっと怒りの顔になるのに目を奪われる…という事情もあるのですが(事情?)、まったく状況がわからない長義がかわいそうでかわいい…笑 「へぇ…っ!?」とか心底情けない感じで好き。


大包平がただの馬鹿みたいになってるのはいいのか?とは思うんですが、全キャラそれぞれ持ち味出しつつ、どのキャラも均等に出番がある感じで、それでいてごちゃごちゃすることもなく、一つの話としてちゃんとまとめてきたのはすごいなと思います。始まる前はこんなに人数いて大丈夫なのか?と思っていて、実際全員舞台にいると多いなとは思うんですけど(笑)、あれだけいると、長義に対してのスタンスでもいくつかの派閥に分けて表現できるし、何より大勢でわちゃわちゃしていることで、彼らにも日常があることがよりリアリティを持って伝わってくる感じがあるので、これはこれでよかったなと感じました。


これまでは、基本的に敵を倒すという主線があるところに、その話にからめて刀剣男士の心情を描くという形でしたが、今回は刀剣男士の葛藤オンリーなので、そこに集中して見られるなと感じました。

「お前たちは手を出すな」からの山姥切同士での一騎打ち。この時のまんばちゃんの心情に関してはいろいろ解釈あると思うんですけど、私は悲伝でさっさと燭台切を止めるために刺した三日月を見てるだけに、極力斬らないようにしてる山姥切めちゃくちゃやさしいなと感じました。頭を鞘で殴ってる部分も、崩れてはいるけど、昏倒はしてないんで、おそらく手加減してるんじゃないかなと。蹴り飛ばしたりしてるとことか、絵面としてはエグいんだけど、実際は斬る方が圧倒的にダメージを与えられるはずなんですよ。でもそうしない。長義は動けなくなるまで向かってくるだろうなってなんとなく感じてて、付き合ってやろうって心情だったんじゃないかなと感じました。実際、もうどう考えても勝てないだろう状況でも「まだまだ…!」とばかりに立ち向かおうとしてましたからね、長義。負けん気の強さがすごい。

そういえばまんばちゃんが逆刃にしたの見た時に、練習として刀剣男士でやりあう場合も普通に切れる感じなのかっていまさらに驚きました(笑) 練習の時は斬れない仕様だからみんながんがんいってるのかと思っていた…。あっこれ普通に斬れるんだ!?っていうところから、上記の解釈に至った面もあります。


慈伝の感想見てるとけっこう賛否両論なんですが、「雰囲気がこれまでのシリーズと違うから無理、しんどい」という理由でイマイチと評価している人がいるのは興味深いなと感じました。話の内容がどうこうじゃなくて、そこが違うから無理というのがあるんだなぁ…と。作品としてどこまで許容できるかの違いなのかな。

役者が下手だから笑えない、って分析してる人もいたけど、個人的にはコメディパート、ちゃんと笑える間合いやテンポだと思うし、笑えないのは単純に今回の脚本の笑いが合わないんだと思う。


あ、それから会場替わり刀剣男士について。

初めに見たのは東京公演の小夜ちゃんなんですが、淡々と、でもぴしっと長義に「あなたが素晴らしいから写しを作ったんじゃないですか? 山姥切さんを侮辱することは、あなた自身を侮辱するのと同じです」って言う小夜ちゃんに最初の頃からずっと一緒の刀の絆みたいなものを感じて、ぐっと来ました。

大阪では骨喰でしたが、長義とのくだりはほぼ内容としては同じなんだけど、ちょこちょこ言葉の選択が変わっていて、へぇっとなったのと、小夜に比べるとふわっと浮いた感じというか、どこか超越者的な視点があるように感じました。そもそも顕現したのも比較的最近(いや、そうでもないか…? まぁ小夜に比べると…)ですし、まんばちゃんに対しての思いがあるからというよりは淡々と事実を指摘しているように感じられておもしろかった。

同田貫に対して、「ばみって呼び方はなんなんだ?」みたいに疑問を呈してたの笑ったwいまさら…?

記憶薄れちゃってるところもあるので、凱旋公演見てからまた記事書けたらいいな。