考える練習

舞台やイベントの感想など

池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE 1/4ソワレ 感想

下書きに放り込んだままになっているのに気づいたので、今更にあげてみます。
今年の1月ではなく、昨年1月上旬に観劇した感想です(笑)

↓↓↓

ざっくりでいいから早くあげてみよう企画第2弾。タイトルに日付入れると今日の感想ですって感じになって書きやすい気がする。

感想ブログ読んで「やっぱり気になる!」と思ってチケット取ってたんですが、とても…よかった…。

劇場は東京芸術劇場シアターウエスト。
通常は奥側にのみ舞台、だと思うんですが、ど真ん中にどんっと舞台があって、奥側は舞台と同じ高さのところにひな壇が作られて座席が置かれてました。なので奥側最前列は舞台と地続き。手前側の最前列もそうだったのかな?
K列だから双眼鏡いるなーと思って持っていったんですが、通常の形式の場合の前方列がつぶされてるために実際は7列目だったので、なくても普通に表情見えました。双眼鏡を使えばどこでも前方席派ですが、使わないほうがやっぱり舞台そのものに集中できていいですね。

なんだろうなー。めちゃくちゃ良くて、こんなに上質なエンターテイメントが7,500円(一般席)で楽しめるとか実質タダでは?って感じでした。

とあるギャング集団が仕切っていた池袋に新たなリーダーが現れて別の集団ができ、対立構造に陥ってしまい、悲劇が起こる…という話なんですが、流れの表現が絶妙で…。歌もダンスもレベル高いし、とにかく楽しかった。


以下、箇条書きまじえつつ。

  • 開演数分前からダンスバトルがあり、高まるストリート感。
    • ダンサーさんたちと俳優陣とのガチンコのダンスバトル(観客の拍手の大きさでどっちが勝ったか決める)
  • 染谷俊之さん演じるキングの存在感がすごかった。
    • 声の威圧感がすごい。単なる低めの声じゃないんだよね。めちゃくちゃかっこよかった…。小説読んでた時のイメージではガタイがいい人の印象だったから、「染谷さんがキング??」って思ってたんだけど、あ、この人は「キング」だって思った。納得せざるを得ない。
  • 対立相手のトップもよい
    • 染谷さんとは逆に、高めで飄々とした声なんだけど、地に足ついてない不思議な浮遊感が別種の底知れなさを感じさせて、ふらっと来てトップを取ってしまうことに関して、この方もすごい納得感があった。


池袋ウエストゲートパークはだいぶ前に小説で読んだきり、おぼろなイメージがあるきりなんですが、たぶんこれけっこういじってる、よね? こんな悲壮な感じの話だった覚えがない(笑)。

池袋のギャング集団がお互いに緊張状態高まったあげくつぶしあいになってしまい、それを止められなかった主人公が無力さを嘆く、という話なんですが、こんなに救いのない話だったっけ…? なんだかんだで止めてそうな気がするんですが、違ったかな。しかも最後、衝突を止められてないっぽい上に、その暴走の結果、どうなったかが示されないという…。主人公が生きてるとこ見ると、そこまで悲惨な事態にはならなかったんだろうか。

最後まで中立な立場を貫くマコト(大野拓朗さん)がいかにもまっとうに育ってそうな感じで、どっちかに肩入れするでもなく、中立な立場を貫く点に説得力があってよかった。

実は裏でヤクザが手を引いてて、いいように利用されてただけだ、という真実が明らかになるあたりで、「あ~池袋ウエストゲートパークってこういう話運びする物語だったよね!」って懐かしさを感じた。話がギャング同士の話で終わらないあたり、大人のずる賢さに負けるな、というメッセージも感じるし、世界は広いんだぞ、というのも感じる。石田衣良さんの小説はこういうところが好きだったなぁ…と思い出しました。
あとクラシックが要所要所で出てくるのもIWGP味を感じた。小説だと自分で探してこないと聞けませんが、舞台だとその曲がながれてくるのいいですね。

モブの人たちが赤と青、両陣営どっちも担当してるの、人はどちらにもなりうる、とかどちらでも変わりない、とか、なんかいろいろ読み取って遊べますね。舞台から退出して即逆陣営のブルゾンを羽織って出て来ることもあって、アンサンブルさん大変だ…とも思ったけど。

あれだけキングの言うことなら聞いていたのに、最後の最後、「武器を置け」って言われてもそこだけは従えないのも真実味があってよかったな…。凄むキングの表情もよかった。染谷さんはわりと飄々としたキャラばかり見てたから、あんな表情は初めてみた。