考える練習

舞台やイベントの感想など

舞台「乱歩奇譚」感想&おしゃべや公開収録感想

感想というよりは見て、聞いて、思ったこと、考えたことになるかもしれない。

舞台「乱歩奇譚 ~パノラマ島の怪人~」

前作の評判が良くてちょっと気になっていたところに、今作見た人たちの感想を見ていて気になったので行ってきました。

原作は未読、特段キャラクターや設定も調べず、というなかなかチャレンジングな状態で行きましたが、冒頭でさらっと前回のあらすじに触れてくれたのと、登場人物の出し方がうまかったので、特段混乱せずに見られました。

「家族みたいな関係」という度に明智が嫌そうにするの、私も明智寄りの考え方なので、うんうん、って感じで聞いてました。実際にはそれ以上にえげつないやり方で統制されているのがバラされるあたりでは、ずっと前にNHKの未解決事件ファイルでやってた、親戚一同が取り込まれて何人もの死者を出したケースを思い起こしてました。お互いに罰しあわせることによってコントロールするっていうやり方が一緒なんですよ。

事件名を忘れちゃったんですけど…と思って調べたらサイトあった。
https://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/file003/index.html
このシリーズは再現ドラマの完成度が無駄に高くてめちゃくちゃこわいんです…でもうっかり見だすと止まらなくなっちゃう。この回も確か偶然目に入って見始めたんだけど、こわくてこわくて泣きそうになりながらずっと目が離せなかった。よくないのはわかるのに誰も止められない。止めようとしたら自分が被害者側になってしまう恐怖から、みんな加担していってしまう。
おそらくこの仕組み、最終的にはエスカレートして死者がばんばん出て崩壊する、、んじゃないかなぁと思うので、早めに終わったのは救いだったのかなぁとか。

ハシバのお兄ちゃんが部屋にこもってから、弟に向けて、いい笑顔で話してるのを見るともう泣けて泣けて仕方なかった。弟は完全に泣き顔なんだけど、お兄ちゃんが本当にいい笑顔してるんだよねぇ…。あの瞬間は、すっきりした心持ちでいられたんだろうか。

カガミ刑事の妹さんについては、来ますよ、来ますよってずっと盛大な匂わせをされていながらも、いやでもこれは助かるんじゃないかと思っていたのが、同時進行の後ろ側でさっくりとその希望の糸が断ち切られていて、なんだろうな~、そう、世界って残酷だよねというような、そんな風に見えた。主要な登場人物の妹が殺されるという、すごく重大なシーンなのに、同時進行の箇所の後ろ側でひっそりと行われていて、あぁ今もどこかでひっそりと、重大な事件が起こっているのかもしれない、と思わせるような。

妹に警告をしようとしてしそこなうシーン、会話のすれ違い具合がすごくいい具合なんだよね…。ちょっとバランス間違うと、話をそう持っていくために会話させてる感が出ちゃうんだけど、すごくありえそうな塩梅で、それだけに失敗してしまうのがリアルだし、カガミ刑事の絶望がつらい。

間に合わなかったことを知った刑事のしぼりだすような慟哭、これを毎回やっているんですよね…。あらためて役者さんってすごい。

そういえばぐるっと話が変わるんだけど、鴻上尚史さんの「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」という本で、役者によって得意な感情、不得意な感情がある、というのを読んで、推しさん、怒り不得意そうだよな~と考えてから、怒りの表出にちょっと敏感になってるんですが(前置きが長い)、谷佳樹さん演じるハシバ兄の怒りの表出がスパンッって感じでなんかすごく気持ちいいなと感じました。

  • 真顔でダンス踊るカガミ刑事かわいい
  • トキコちゃんかわいいよ~その分つらい
  • シークレットスリッパ、いかにも「継いだ」感に笑ってしまった
  • 影男が癒やし。あの動きすごいな~絶妙
  • 「これあげるからさ」とブロマイドを渡された谷さんがとまどっていた(笑) その後笑いをこらえていてかわいかった

おしゃべや公開収録

そこからのおしゃべや公開収録!振れ幅!(笑) 乱歩奇譚でボロボロ泣いてしまったので、今回は接触なしでよかったと心底思った。

放送前なので詳細なレポは割愛するとして…。

放送聞いてて、松田凌くんは熱い人だな~と思ってたんですが、生で聞くとやはり情報量が違うのか、なんか当てられたみたいになって、最寄り駅に帰ってきてからも落ち着かなくて、しばらく散歩しながらぐるぐる考えてました(笑)。想いそのものがぶつかってくるような感じというか、魂ごと差し出してくるようなトーク

「俺らに聞いてくれるのも嬉しいんだけど、質問してくれた人にも、これまで積み重ねた経験があるわけじゃん? そこから答えを引き出せると思うんだよ」というところから始まる話が特に熱くて印象深く、ずっとこれが頭の中をまわってました。

あの熱量をそばで見て、きっちり受け止めてて、当てられないのすごいなぁ。単なる慣れの問題?? 語り口としてはむしろ静かなんだけど、込められた思いの質量がずっしりしてるというか。

荒牧さんと対比すると本当に2人って対極ですよね。荒牧さんも自分の意見はきっちりあって、核にしっかりしたものがあるんだけど、あくまで相手の領域は侵犯しないように距離たもって、そっと見計らって自分の意見を置くような印象があるんですが、松田さんは俺はこう思う!ってばーんと距離詰めてくるような印象。だからって押し付けてくるとかそういう意味ではないんだけども。俺はこうだけど、どう?って聞かれてるような感じがある。