考える練習

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舞台「炎の蜃気楼 昭和編」第3弾「夜叉衆ブギウギ」 感想①

当初5回見る予定でしたが、2回増やして7回見ました。自己最高だった6回*1を更新です!いえー。
行けるだけ行ってみて気づいたこと - 考える練習 にも書いたように、当初は5回でも多いかなと思っていたのにね…。
それだけ見たのに初日と千秋楽を見ていないのはちょっとおもしろいものがあります(笑)

シリーズ前作上演時は舞台にハマる前だったので、舞台化第3弾にして初ミラステ。設定が複雑と聞いたので予習はした方がいいかなと思い、舞台化された昭和編のみ読みました。すごく面白くて、先が気になってどんどん読み進めてしまい、kindle版だとすぐ次が買えることもあって、読んでた時期は寝不足でした(笑) 本編も読もうかと思ったんですが、本編は昭和編のネタバレになってしまう、みたいなことを聞いたので、ひとまず保留。過去作のDVDは迷ったんですが、あえて見ずに、小説読んだイメージだけで挑みました。公演見たら見たで、記憶が上書きされそうでまだ見れてません…もうちょっとたって落ち着いたら見たい。

短編集の舞台化なので、オムニバス形式。どのお話が採用されるのかな~という意味でも楽しみでした*2。短編集からは4編、書き下ろし1編、という構成。
この記事では、オープニングから情熱カクテルまでの感想を。

オープニング

ナレーションと映像演出で夜叉衆の説明が入るところかっこよくて好き。映る写真が時代を映したものなのも雰囲気出てて最高。リュウ・リャンチー、ケイン中尉、兼崎金次郎が紹介されて、夜叉衆3人がそれぞれを追いかける演出もよかった。

黄浦江ワルツ

リュウ・リャンチーにもうちょっと大女優感というか、人気があるが故の自信と傲慢さが欲しいなーとも思いましたが、見慣れてくるとそこまで気にならなく…。最後、なんで宮路は一緒に生きることを選択しないのか、原作読んだ時から不思議だったんですけど、夜叉衆の任務があるからですよね。大事なことを忘れていた(笑) カメラマンやってるのが朽木役の増田さんであることをアフトで聞いてから、そのシーンの度に凝視してたんですが、何回見ても別人にしか見えなくて、すごいなー…と思ってみてました。

恋花火ラプソディ

原作読んだ時から好きな話だったので、これ入ってて嬉しかった。

戦争による傷跡で苦しむ人々のセリフがつらくて切なくて、「石を投げたことは謝りません」というところから始まる一連のセリフや父親が米兵に殺されたのに協力なんてできないというシーン、うるうるしながら読んだんですが、舞台でもこのあたりはうるうるしながら見てました。

アンサンブルの方もそうですけど、マリーがちゃんと中学生に見えるのすごいですよね…。まったく違和感ない。それとアクションシーンがかっこよかった。「小娘だからって甘く見ないでよね!」というセリフに説得力が。また、ケイン中尉が優しげな感じなのが最高でした…欲を言えばもうちょっとガタイ良いとよかったかな。ほんの少し訛り残ってる感じがリアルでよかった。

原作読んだのが公演の確か一ヶ月前くらいで山口が出て来るのを忘れていて、最初、山口だということに気づかず、マリーが「直江!」って呼んで、え?直江?ってことは?ってよくよく見て、声聞いて、ようやく荒牧さんであることに気づいてめちゃくちゃびっくりしました。声も振る舞いも別人じゃない…? 山口は設定では40代らしく、執行社長役の水谷あつしさんを参考に役作りしたとのことでしたが(アフトより)、落ち着いた大人の男って感じでとてもかっこよかった。山口のブロマイドがないのが本当に残念。

マリーに対してすごく優しいし、マリーもめっちゃ嬉しそうだし、で、こんな感じだっけ?と戸惑いましたが、原作読み直したら「今の家がいづらいなら俺を頼ってきてもいいんだぞ。いざとなったら養子縁組でもなんでもして、うちから学校に通う手もある」みたいな話もしていて舞台版ではむしろ控えめだった…。
「責任とってよね」「ひやしあめでいいか?」「だーめ、桜エビのかき揚げなら許してあげる」「こいつ(笑)」というやりとりがとてもかわいくて好き。

情熱カクテル

「私は飲んでみたいですけどね。あなたの情熱。しかも腹いっぱい」っていうのがすごくエロく聞こえて、びっくりした思い出。セリフ自体もそうですけど、二人が交わす目線だったり、全体の雰囲気がもうなんかいろいろ物語っていて、たまらなかった…(ライブドアニュースのインタビューで、二人の恋愛的な面に女子がきゃっきゃするのは男なのでよくわからない、みたいなことを富田さんが仰ってたんですが、それであの空気感出せるのって本当に不思議…)。昭和編読んでると、二人って必要事項以外はちゃんと会話しない印象があるんですが、ここのカウンターでの会話はお互いの心情をちゃんと語って受け止めてるのがいいなぁと思います。

カクテルの試作品を飲んだマリーがうめきながらぐるぐる回るところで、一回、中身がこぼれちゃったことがあって、マリーが帰った後、景虎が地味にそのあたりの床を拭いてて、ちょっとおもしろかった(笑)
「これ何入ってんの!?」「ジンとウォッカだ」「濃いわよ!理科の実験!?」「実験といえばそうだが」「死人が出るわよ!」「そこまで言わなくても」「根本的なこと言っていい?」「なんだ」「おいしくない」「そこまではっきり言わなくても」というやりとりがコミカルでテンポよくて好き*3。景虎が本気でショック受けてしょげてるのがかわいい…笑

以下、感想箇条書き。

  • 直江とマリーのやりとりが気安い感じでなごむ
  • その後のひとりごとが切ない
  • 「お前、今晩付き合え」「えっ、…私ですか」のところの"素で驚いた感"よい…
  • 「あんまり飲むと、酔ってしまいますよ」というとてもあからさまなフラグをぼっきり折る景虎様(笑)

この話って全体に、直江が景虎への気持ち、特にポジティブな気持ちをわりと素直に出してるのもあって、見てて楽しくて、毎公演楽しみでした。(景虎も、若干ツンツンしながらではありますが(笑)、わりと素直に頼ってるのがまた…)「あなたならできますよ」って自信ありげに言ってたり、カクテルが好評なのを聞きながら楽しそうに笑ってたり。特にこの、話を聞きながら一人リアクション取ってるあたりは表情がけっこうくるくる変化するので見てて楽しかった。「少しは感謝してほしいんですけどね」とかも、ちょっと甘さが滲むというか、しょうがないなぁって感じでよかったな~。


追記:「がめ医者エレジー」と「やどかりボレロ」についても感想書きました。
舞台「炎の蜃気楼 昭和編」第3弾「夜叉衆ブギウギ」 感想② - 考える練習

*1:ちなみにハイステ再演

*2:女性アンサンブルがいるということで、「学園サンバ」入らないかなと期待してました笑

*3:文字だけだと面白さがいまいち伝わらないのが悲しい。本当にテンポよくて最高なので見てない方はDVD予約してぜひ…