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映画「第九条」感想(ネタバレあり)&荒牧慶彦さん舞台挨拶感想

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いつもはネタバレあり感想しか書かないのですが、わざわざネタバレなし感想をあげたのは、どんなものか気になりつつもためらっている人の後押しとなれば、という思いからでした。いや、本当、もったいないと思うんですよね…。ツイッターで検索してみた感じ、あまり見に行ってる人いなさそうで。約一時間映画を楽しく観てたら、第九条関連の争点が一通り頭に入ってくるっていうのはなかなかないんじゃないかなと。

とはいえ、気になる点がないわけではなく。

社会科の教育ビデオみたい…というツイートも見かけましたが、序盤で周辺知識の解説があり、予備知識がない人でも楽しめるようになっています(というかたぶんそれを目指してるんですよね、この映画は)。解説の仕方もわかりやすく、いいなぁとは思ったんですが、解説役が主に破棄派なんですよね。なので最初、え、大丈夫かな、これもしかして破棄派に偏った内容?とちょっと心配になりました。とはいえ、解説段階で破棄派と維持派のセリフが入り乱れると訳がわからなくなるような気もするのでこれは仕方ないのかな。序盤、主に解説を務めるのが司会役になった弁護士の秋葉でこの人は破棄派なんですが、その見解はちょっと偏ってないか?と感じる箇所があったりしたので、解説段階で維持派の説明もあればよかったかなと。維持派であるNPO法人職員の五井も解説セリフあったような気はするんですが、秋葉の解説セリフ量が圧倒的で…。

もう一点気になるのが、男性陣がほとんど破棄派、女性陣がほとんど維持派、でトータル五分五分、という配置になっていた点。実際に男女でアンケート取ったらそれぐらいの割合なのかなとも思うんですけど、これだと男VS女みたいに思えてくるのであまりよろしくないのでは、と個人的には思いました。そういう意味では木部(破棄派) VS 五井(維持派)がメインになっていたのはある意味救いかもしれない。あと序盤女性がほぼしゃべらないのがなー…後半になって意見が出てきた時はほっとしました。

ただ、破棄派と維持派のトータルでの意見バランスについては、すごくバランスいいなと思いました。絶対どっちかに偏るだろうなと思っていたので、わ、すごいな、と感心。監督のバランス感覚がいいんでしょうね。まぁラストが維持派の人がすごい意見落として、全員しーんとなったところで終了なので、強いていうならそっちが印象に残るかなとは思いますが、分量としてはすごくバランスがいい。

私自身は護憲派で、映画観た後も根本としては変わらないんですが、改めて、それを選択することがどのような意味を持つのかという点について、いろんな面から考えられたように思います。


さて、ここからは荒牧さんについてです!笑
そういうのはいらない人はブラウザバック推奨。

序盤ほぼ相槌ばかりでしゃべらないので、まさかずっとこの感じ…?と心配になりましたが、ちゃんと長台詞あって安心しました。

イマドキの若者風でくるのかと思っていたので、わりと礼儀正しい感じでちょっと驚き。一度声を荒げる以外は常にですます調。それでいてちょっと小生意気な感じがよい…。荒牧さんは声がいいなぁと思ってるんですが、「破棄」というセリフすらも美声。護憲派としては、あーこの子そっちかーってちょっとがっかりしたんですけど(笑)、びんって響く感じの声でしみじみ聞き惚れました。

これまで2.5次元舞台でしか観たことがなかったので、キラキラしてない、普通の若者をやってるのがとても新鮮でした。これ他の人もそうなんですけど、芸能人オーラが全然感じられないんですよね。本当にそこらへんにいそう。パンフに載ってる、演じてる最中の写真見てても、本当に普通の人っぽい。プロフィール写真としてのおそらくブロマイド用のお写真の方はみなさんちゃんと役者さんって感じなんですけどね。そんなわけでブロマイドも俳優「荒牧慶彦」って感じだったんですが、作中の感じの写真もちょっと欲しかったような気がしないでもない。だって荒牧慶彦としての写真は他のところでも見られるけど、この、山田豊役としての荒牧さんはここでしか見られない訳で。

上映後、舞台挨拶がありまして、以下、そのレポもとい感想です。

宮本正樹監督と荒牧慶彦さんが登壇。

その様子がこちら

遠目だとシャツの中に何も着ていないように見えて、一瞬びっくりした。

撮影どうでしたかみたいな話から入り…

監督:セリフ大変だったと思うけど、ほとんどミスなかったよね。
荒牧:え、そうでしたっけ?

まっきーさすが。

和やかな話が続き、さすがに九条については触れないのかなと思っていると、

監督:やはりこういう題材なので、これは聞いておかねばと思うんですが、荒牧くんはどっち?

いやーここははらはらしました。

荒牧:んー…うーん…(客席と顔見合わせる感じで)ふふふ(笑)
監督:やっぱりタブーみたいなとこがあるから答えにくいとは思うんだけど、
荒牧:うーん、ぼんやりとはあるんですけど、ちゃんと勉強したわけでもないので、言うべきではないと思ってます。

あれ、他のお客さんもドキドキしながら見守ってたと思うんですよね。回答しづらい問題なのはわかってるし。1対多ではあるんですけど、本当に1対1で顔見合わせてふふって笑っちゃう感じみたいになって、あの同調性みたいなのはちょっとおもしろかった。

そしてその後の荒牧さんの回答。パーフェクトじゃないですか!?(落ち着け) こういうのって本当にセンスが問われるので…。別に詳しい必要はないんですけど、「全然わかんないっす」みたいにいかにも阿呆な回答されても嫌だし、どっち派です、って表明された場合に、自分の思想と反対だったらちょっと嫌だなぁとか。そういう意味で、はっきりどっちと表明するでもなく、意見はあるけど言うべきではないと思うので言わない、という。この人頭いいなーと思って、より好きになりましたね。

この後、お客さんからも「あの議論の場に荒牧さんがいたら誰の役割になると思いますか?」っていう質問があって、これも答えようによっては危ないところですが、誰、と言ってしまうのではなく、「緩衝材、というか中和剤というか、そういう役割になると思います。普段の役回りがそうなので」という回答で、意識的に避けたのか、素直に考えてそうなったのかはわかりませんが、ナイスな回答でした。

他、萌えたところ。

お客さん:この役をやるにあたり、意識していたことは何ですか?
荒牧:オタクの人って自分の得意分野がきたら、わーっと喋るっていうイメージがあって、そういう感じになるように気をつけました。僕も、(三国志の)趙雲について語る時はそうなるだろうなって思うので
…というくだりで、趙雲って言う時にあきらかに表情が輝いててかわいかった…。

今後、どういう役がやりたいですか?にも、役者としてはいろんな役をやりたいですねって模範解答の後、監督からのパスがあったんだったかな?「趙雲あったらやりたいです!」って言ってて、また顔が輝いてて(以下略

そういえば監督さんの「役者さんはいくつになってもできるのがいいですよね」に対して(監督もそうなのでは?と思ったけど)、「仕事があればですけどね~笑」ってさらっと荒牧さんが回答してて、聞いてる方が心中、ひゅんってなったんですが、そういうこと言えるメンタルでないと役者なんてやれないよね…。

お客さん:今日の洋服はどういう…?(だったかな?曖昧)
客席笑い
「そんなに変かなぁ~」とマイクを持ってない左手を広げて自分の服を確認しだすまっきー。かわいい。
「これフーガさんのなんですよ。ハワイからきたおじさんじゃないですよ(笑)」
ハワイから来たおじさんって何…笑
ちなみにフーガさんがわからなくて頭の中「?」だったんですが、服のブランドなんですね。人名かと思った。

「ボタンたくさん開けてますね」的なこと言われて「開けすぎですか?」とシャツのあわせめをぎゅっと左手でつかむまっきーもかわいかった…脇を締めてたのがよりかわいさを…。確かに閉めるならもうひとつふたつ閉めるべきだし、開けるなら全開では、という感じの半端さではあった。
その後、「もうちょっと開けたい気がする」って小声で言ってボタンを外しだして結局全開にしてたんですが、それ聞いて2つぐらい隣に座ってたお姉さんが「え、そっち?」って小声で行ってたのがおかしかった…笑

そうそう、服の質問の前に、
お客さん:映画と関係ない質問なんですけど、いいですか?
荒牧さん:はい、全然大丈夫ですよー
っていうやりとりがあったんですが、回答の早さが質問内容を予測しながら聞いてる人のそれできゅんときました。

全開バージョン。


あとこの宣伝用画像の荒牧さん好きです。この角度最高。
(ちなみにパンフの表紙もこの画像です)